2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of antidepressive serotonin projection as a possible target of cell transplantation therapy
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18K14919
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永安 一樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00717902)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セロトニン / うつ病 / 光遺伝学 / ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の治療法としては、抗うつ薬による薬物療法が主流であるが、定義にもよるものの約30%の患者が治療抵抗性を示すことが大きな問題となっている。この治療抵抗性うつ病を克服するため、高い有効性と安全性を併せ持ち、副作用が少ない新たなうつ病治療選択肢の創出が求められている。申請者はこれまで薬理学的手法を用いて、精神疾患治療薬がセロトニン神経に与える影響を解析してきたが、その過程で、ケタミンやオランザピンなど、抗うつ作用を示すものの、従来はセロトニン神経に作用しないと思われていた薬物を含めて、抗うつ薬のほとんど全てがセロトニン神経の活性化作用を有することを見出してきた。一方で、セ ロトニン神経自体も、その受容体であるセロトニン受容体も、脳全体に広く投射・分布していることから、セロトニン神経全体の活性化や、脳全体のセロトニン受容体の刺激/阻害のみでは、副作用なく抗うつ作用のみを引き起こすことは困難であることが強く示唆されている。 本研究の目的は、解剖学的にも機能的にも多様なセロトニン神経回路網から、抗うつ作用を司るセロトニン神経回路を同定し、その投射先にヒト幹細胞由来セロ トニン神経を移植することで、精神依存性などの副作用なく抗うつ効果が得られるかを前臨床で検証することである。 本目的の達成のため、本年度は、抗うつ作用および精神依存性のそれぞれに関わると考えられるセロトニン神経回路を光遺伝学的手法を用いて探索するとともに、ヒトiPS細胞のセロトニン神経への分化誘導条件の検討を行った。
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