2018 Fiscal Year Research-status Report
P2Y6受容体タンパク質のプリン非依存的シグナル伝達機構と慢性炎症治療への応用
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18K14921
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西山 和宏 九州大学, 薬学研究院, 特任助教 (60810116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | inflammation |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に①親電子物質がP2Y6Rを阻害する機構および②慢性炎症におけるP2Y6Rの役割について実験を行い成果を得た。 ①親電子物質がP2Y6Rを阻害する機構について これまでに、我々はマクロファージ細胞株RAW264.7を用いた独自のP2Y6Rスクリーニング系を確立し、機能性食品成分の中の親電子性を有するイベリンやスルフォラファンなどのイソチオシアネート(ITC)がP2Y6Rを阻害することを見出した。ITCはP2Y6Rの内在化を促進し、プロテアソーム系を介した分解を促すことでP2Y6Rを阻害する可能性が見出された。さらに、ITCが標的とするシステイン残基も特定しつつある。一方で、内因性の親電子性物質についても評価を進めており、ITC同様に内因性親電子物質もP2Y6Rを阻害する可能性を示しつつある。 ②慢性炎症におけるP2Y6Rの役割について デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発慢性大腸炎モデルを用いて、慢性炎症におけるP2Y6Rの役割を明らかにした。具体的には野生型マウスおよびP2Y6R欠損マウスに2% DSSを7日間飲水させ,7日間通常の飲水に戻し、腸炎モデルを作製、比較した。体重増減、および血便、下痢を評価した。さらに腸管の長さおよびリアルタイムPCR法を用いたサイトカイン発現量を比較した。P2Y6欠損マウスは野生型マウスと比較して、体重の減少、血便、下痢が有意に軽度であった。さらに、腸管の長さや炎症性サイトカインの産生量も野生型マウスと比較して有意に軽度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験計画の3項目の内、①親電子物質がP2Y6Rを阻害する機構および②慢性炎症におけるP2Y6Rの役割について実験を行い成果を得ることができため。
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Strategy for Future Research Activity |
ITCの標的となりうるP2Y6受容体のシステイン残基を同定する。その後、P2Y6Rのシステイン残基をセリンに置換した変異体遺伝子を発現させるアデノ随伴ウィルスベクターを用いてP2Y6R欠損マウスにP2Y6受容体(野生型および変異体)を発現させ、慢性炎症やITCの感受性に対する検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は購入予定の消耗品や抗体の消費が少なかった。来年度には遺伝子改変マウスやウイルスの作製費に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)