2018 Fiscal Year Research-status Report
イオンチャネル型受容体によるnRTKsの活性化調節機構の解明
Project/Area Number |
18K14925
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 一貴 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (70803154)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | P2受容体 / マスト細胞 / ATP / 非受容体型チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はITAMを介した非受容体型チロシンキナーゼの活性化がイオンチャネル型受容体であるP2X4受容体によって促進されるメカニズムの解明を目的としている。P2X4受容体は骨髄由来マスト細胞(BMMC)において、抗原依存的な脱顆粒反応を増強している。このとき、非受容体型チロシンキナーゼであるSykのリン酸化も促進している。この反応は細胞外カルシウムイオン非依存的であることを見出していたが、他のイオンについても検討を行った。その結果、ナトリウムイオンやカリウムイオンも非依存的であった。加えて、P2X4受容体のポアをリガンドの結合を阻害せずに塞ぐ銅イオン存在下でも、非存在下と同様の反応を示すことを見出した。以上のことから、P2X4受容体はイオンチャネル活性非依存的にSykのリン酸化を促進していると考えられた。また、PMAを用いたPKCのダウンレギュレーションを行った場合もP2X4受容体はSykのリン酸化を促進していた。 加えて、Phos-tagを用いたウエスタンブロット法により、P2X4受容体は抗原による刺激に応じてリン酸化されることを見出した。そこで、P2X4受容体の細胞内領域に種々の変異を加えると特定部位のアミノ酸を変化させた場合に、P2X4受容体による抗原依存的な脱顆粒反応の増強が消失した。さらに、BN-PAGEを用いたウエスタンブロット法により、P2X4受容体は刺激に応じて複合体を形成している事を示唆する結果を得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度中にP2X4受容体が直接作用しているシグナル伝達因子をプロテオーム解析によって特定する予定であった。しかし、網羅的な解析を行うことが難しかったため、P2X4受容体と複合体を形成しているタンパク質を回収する手段の模索していたため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
P2X4受容体が刺激に応じて複合体を形成している結果を得られたので、2次元電気泳動と質量分析によって候補タンパク質の分離と同定を試みる。また、抗原刺激によるP2X4受容体のリン酸化が脱顆粒応答やシグナル伝達に影響を及ぼすか、種々の変異P2X4受容体を用いて検討を行う。
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