2019 Fiscal Year Research-status Report
イオンチャネル型受容体によるnRTKsの活性化調節機構の解明
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18K14925
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 一貴 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (70803154)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | P2受容体 / マスト細胞 / ATP / 非受容体型チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はITAMを介した非受容体型チロシンキナーゼの活性化がイオンチャネル型受容体であるP2X4受容体によって促進されるメカニズムの解明を目的としている。P2X4受容体の活性化はITAMを有する受容体であるFcεRIを介した骨髄由来マスト細胞(BMMC)の活性化を促進する。この反応はP2X4受容体のイオンチャネル活性には非依存的であり、非受容体型チロシンキナーゼであるSykの活性化を促進することによって惹起されていると考えられた。しかしながら、Sykの上流に存在するLynやFynをsiRNAでノックダウンしてもP2X4受容体による脱顆粒やSykリン酸化の促進は抑制されなかった。一方でSrc family kinase 阻害剤であるPP2存在下では阻害されたことから、LynとFyn以外のsrc family kinase の関与が疑われた。また、P2X4受容体はBMMCのみならず、腹腔マスト細胞やSwiss 3T3細胞と共培養することで得られる結合組織型様マスト細胞でも抗原依存的脱顆粒反応を促進した。 生体内においてもP2X4受容体は抗原依存的なマスト細胞の脱顆粒を促進しているのか検討した。IgEを局所または全身に投与した後に抗原を投与するアナフィラキシーモデルマウスを野生型マウスとP2X4受容体欠損マウスで作成し、直腸体温の低下と血管外漏出を評価した。P2X4受容体欠損マウスでは野生型マウスと比べてアナフィラキシーによる体温低下や血管外漏出が軽減していたことから、P2X4受容体は生体内においてもマスト細胞の活性化を促進していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ⅰ型アレルギー反応時の生体内におけるP2X4受容体の寄与を明らかにできたが、脱顆粒促進反応のメカニズム解析は難航している。脱顆粒促進反応が消失する変異P2X4受容体を得たが、イオンチャネル活性も消失する機能喪失型変異であったため新たなアプローチ法を検討している段階であるため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
P2X4受容体刺激によってチロシンキナーゼなどの局在や顆粒の輸送と膜融合に関わるアクチンやチューブリンの動態が変化していないか検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会が新型コロナウイルスの影響で誌面開催となったため旅費分の助成金を使用しなかった。 試薬などの物品費用として使用する。
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Research Products
(4 results)