2018 Fiscal Year Research-status Report
HeLa/Fucci2細胞の表現型解析による新規作用機序を有する海洋天然物の探索
Project/Area Number |
18K14933
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
人羅 勇気 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (00755308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / 細胞周期 / Fucci / 表現型解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、海洋生物や糸状菌由来のエキスライブラリのスクリーニングを実施し、細胞の表現型に特徴的な変化を与えるサンプルを選抜した。また、複数の活性成分の単離・構造決定を達成し、新規生物活性物質を発見した。 本研究開始当初、HeLa/Fucci2細胞の表現型に与える影響を指標に、エキスライブラリ約200サンプルについてスクリーニングを行った。細胞周期、細胞形態、細胞増殖等の細胞表現型を指標にスクリーニングした結果、細胞周期を停止するサンプルや、細胞の形態を顕著に変化させるサンプルなど様々な表現型の変化を誘導するサンプルを見出した。それらの中でも、細胞周期を停止させる生物活性を示したサンプルを選抜し、活性成分の探索を行った。細胞周期を停止させた2種類の海綿抽出エキスサンプルについて、それぞれ溶媒分画、各種クロマトグラフィー等を用いて分画精製し、複数の活性成分を単離した。単離した化合物に関して、NMRスペクトルやマススペクトルをはじめとした各種スペクトル解析をおこない、化学構造を決定した。構造解析の結果、複数の化合物がこれまでに単離報告例の無い新規化合物であった。 単離した生物活性物質について、HeLa/Fucci2細胞の表現型に与える影響を蛍光顕微鏡を用いて観察し、細胞周期を停止させることを明らかにした。また、フローサイトメーターを用いて細胞周期の詳細な解析を行い、今回単離した新規化合物が細胞周期の進行を停止していることを確認した。また、以上の研究成果を学会で報告した。 現在、化合物の作用メカニズムの解明を目指し、標的分子の同定に向けて研究を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、エキスライブラリのスクリーニングと活性成分の探索を目標としていた。当初の計画通り、スクリーニングにより複数のヒットサンプルの選抜に成功し、活性成分の単離構造決定を達成した。また、研究成果として複数の新規生物活性物質を見出すことに成功し、学会等で研究結果を報告した。 以上の点から、本研究課題は当初の計画通り遂行できたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果として、複数の新規生物活性物質を単離したので、今後は単離した化合物について作用メカニズムを解析し、標的分子の同定を目指す。 また、エキスライブラリのスクリーニング結果を体系的に分類し網羅的に解析することで、類似した生物活性を有する化合物を見出すと共に、特異な生物活性を示すサンプルを選抜し、新規生物活性物質を探索する。
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Research Products
(7 results)