2018 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌の休眠遺伝子を覚醒するキナ酸を利用した新規天然化合物の探索
Project/Area Number |
18K14935
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
野中 健一 北里大学, 感染制御科学府, 講師 (60421369)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 糸状菌 / 二次代謝 / 天然化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌培養液サンプルの調整:北里生命科学研究所が保有する10,000株以上の糸状菌ライブラリーの中から、幅広い分類の糸状菌に対して検討を行うために、植物内生糸状菌100株と土壌糸状菌100株を任意に選択した。これらを4種類の生産培地(液体培地・固体培地:各キナ酸添加・無添加)で培養し、100% EtOHで化合物抽出を行うことで糸状菌培養液サンプルを調整した。1年間で計800サンプルを調整した。 キナ酸の化合物生産に与える影響の評価:上述の培養液のキナ酸の有無による色調変化、6種類の病原菌に対する抗菌活性の変化を調査した。色調変化においては、植物内生菌では、液体培地で100株中45株、固体培地では100株中19株において変化が見られた。一方、土壌糸状菌では、液体培地で100株中68株、固体培地で100株中34株において変化が見られた。 6種類の病原菌に対する抗菌活性の変化においては、植物内生菌では、液体培地で100株中25株、固体培地では100株中10株において変化が見られた。一方、土壌糸状菌では、液体培地で100株中89株、固体培地で100株中56株において変化が見られた。 変化の大きかった液体培地に関しては、200株中113株(56.5%)において色調の変化が見られ、200株中114株(57%)において抗菌活性に変化が見られた。これまで糸状菌の二次代謝の発現に使用されて来た低分子化合物は全試験菌の10%以下であったため、キナ酸は従来の低分子化合物と比べ非常に汎用性が高いことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた数の培養液調整並びに、抗菌活性評価を指標としたキナ酸の影響について調査を終えることが出来たため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、使用する糸状菌を600 株に拡大し、キナ酸添加・無添加の液体培地と固体培地の4条件で培養した2,400ブロスを調製する。これらを当グループで確立した抗細菌、抗真菌、抗原虫など10の評価系でスクリーニングを実施し、キナ酸添加の有無間でのヒット率の比較から有効性を明らかとする。さらに、キナ酸添加で生産誘導された生物活性物質をNMR、MS等で機器分析を行い、構造を決定する。
|