2018 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌の化合物生産能を解放するアンロッカー物質の探索
Project/Area Number |
18K14936
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 一成 北里大学, 感染制御科学府, 研究員 (90760075)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糸状菌二次代謝産物 / cyclosporin / 糸状菌の化合物生産能の解除 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はユニークな構造を有する大村天然化合物ライブラリーを利用し、糸状菌(Talomyces 属糸状菌)の分生子形成と色素産生およびLC/ESI-MSデータを指標に糸状菌の化合物生産能の制限を解除する低分子化合物(アンロッカー)の取得および取得したアンロッカーを利用し、糸状菌二次代謝能の解放することで生産する天然有機化合物を単離、構造決定することを目的とした。 研究は1stスクリーニング、2ndスクリーニングを行い、2ndスクリーニングを通過した化合物を添加試験を行い濃度依存的に二次代謝プロファイルを変化させた化合物をアンロッカーとした。 1stスクリーニングの結果、大村天然化合物ライブラリー794化合物を申請者が開発したペーパーディスク法を基にした評価系で評価したところ76化合物が色素円や分生子の過剰増加がみられた。これらの中にはアクチノマイシン Dやオリゴマイシンなどの抗真菌作用を示しかつ阻止円の外側に色素円や分生子の過剰増加が確認できた化合物も含まれている。またヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチン Aなどケミカルエピジェネティクスにも用いられる化合物も確認できた。2ndスクリーニングは1stスクリーニングを通過した76化合物を用いて液体培養での評価を行なった。化合物を終濃度10 μg/mL、1 μg/mL、0.1 μg/mLの3つの濃度で培養した。培養6日後、等量のEtOHで培養を止め、上精をLC/ESI-MSなどで分析した。濃度依存的に二次代謝プロファイルが変化した化合物をアンロッカーとした。1stスクリーニングを通過した76化合物のうち、1stスクリーニングで抗菌を示さず化合物の保有量の多い12化合物を評価した。その結果、cyclosporinを添加した時に新たなピークを確認した。また確認したピークはcyclosporinの濃度依存的に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の当初の予定ではすでにアンロッカー決定し、アンロッカー添加時にのみ生産される化合物の特定まで終わっている予定であったが、アンロッカー添加時にのみ生産される化合物の取得が困難であるため現在生産条件の検討を急いでいる。検討課題としてはアンロッカーの添加量の調整が困難であることがあげられる。すでに4回培養をおこなっているが、アンロッカー添加時に新たに生産される化合物が条件検討時のアンロッカーの量では生産しなくなってしまったことがあげられる。これらのことから当初の予定からはやや遅れてしまっている。しかし菌株の安定性と同時に他の菌株での汎用性を検討するとともに新たに産生された化合物の取得を試みることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1) アンロッカー添加時にのみ生産される化合物を安定的に生産させる培養条件の検討および菌株を安定させるための培地検討などを行う。 2) 他の菌株での汎用性を検討するとともに新たに産生された化合物の取得を試みる。 3) 昨年度の研究結果で得られたアンロッカーの作用メカニズムの解明を検討する。
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