2019 Fiscal Year Research-status Report
天然物化学的手法による植物内生菌の生態解明と有用資源としての活用へのアプローチ
Project/Area Number |
18K14939
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 健一 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (70635135)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 真菌 / 植物内生菌 / セスキテルペノイド / ポリケタイド |
Outline of Annual Research Achievements |
植物内生菌(エンドファイト)は、植物組織内に病徴を示すことなく生育する微生物の総称であり、自然界に存在するほぼ全ての植物で内生菌の存在が判明している。2019年度は、前年度までに分離に成功した菌株から調製した植物内生菌の菌体抽出エキスのHDAC阻害作用について検証したが、有意にHDACを阻害するエキスを見出すには至らなかった。一方で、retinoid X receptor、peroxisome proliferator activated receptors、liver X receptor等の核内受容体に対するリガンド活性の有無を検証し、数種のエキスに弱い活性を見出した。 さらに、前年度に引き続き、分離した菌株が産生する代謝産物に関する研究も行った。その結果、Paraconiothyrium brasiliense (ECN-258株)から10種の新規化合物を含む15種の化合物を単離し、その構造解析について報告した。単離した新規化合物のうち、7種はeremophilane型セスキテルペノイド、残る3種もeremophilane型に由来する骨格を有するセスキテルペノイドであった。Paraconiothin C及びIと命名した2種の新規化合物には、liver X receptor-αに対する抑制作用が見いだされた。また、Talaromyces属真菌(ECN-211株)から2種のテトラヒドロキサントン誘導体を単離し、その絶対立体配置について単結晶X線結晶構造解析及び円偏光二色性スペクトルを利用して決定した。現在、別の真菌の二次代謝産物について新規知見を得ており、その内容について論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HDAC阻害作用の検証に当初の予定よりも時間を要したため、研究計画に若干の遅れが生じ、論文の執筆が当初計画した期間内に終了しなかった。それを除けば、ほぼ計画通りに研究計画を遂行することができ、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験部分はほとんど完了しており、本年度は論文の執筆とそれに関わる追実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
現在作成中の論文に際して、追加実験が必要となり、計画に若干の変更が生じた。そのため、一部の追加実験と論文の執筆及び投稿を実施するため、英文校正費及び少額の試薬費を2020年度に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)