2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of medicine for male infertility which activate sperm from natural products
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18K14944
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
太田 智絵 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (10804221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精子活性化成分 / 天然物化学 / 男性不妊症治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年日本では5組に1組が不妊症であるとされ、そのうちの半数が男性不妊症である。男性不妊症の主な原因は造精機能障害であるが、詳細な発症メカニズムはほとんど不明であり、根本的な治療法の確立には至っていない。そのため、体外受精などの生殖補助医療が汎用されている。本手法を用いる際に、受精率を向上させるための精子活性化剤が用いられることがあるが、効果のエビデンスは不十分であり、安全性も不確実である。 本研究では、生薬や化合物のスクリーニングにより、天然物由来の精子活性化成分を見出す。さらに作用を見出した化合物の構造最適化や作用メカニズムの解明を行うことで、科学的エビデンスが確立した、安全性の高い精子活性化剤の提案を目的としている。 これまでに、文献的・伝承的に効果が期待される約40種の生薬エキスおよび化合物の精子活性化スクリーニングを実施し、2種の生薬エキスおよび2種の化合物に作用を見出した。作用がみられた化合物について、マウスの体外受精率を調べたところ、受精率を有意に上昇させた。また、本化合物の最適な添加濃度も明らかにした。現在、蛍光標識した精子を用いたアクロソームリアクションの経時的な観察や安全性の確認を行っているところである。 今年度、精子運動解析システムを用いて精子運動をモニタリングする手法を確立した。本手法により、詳細な精子の運動パラメーターの解析が可能となった。今後、精子活性化作用が見られた生薬エキスおよび化合物における精子運動解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、精子活性化スクリーニングにより抽出された化合物について、マウスの体外受精成功率を算出したところ、コントロールと比較して有意に受精率を向上させた。さらに、本化合物の最適な添加濃度も明らかにした。 上記に加え、精子運動解析システムを用いて精子運動を経時的にモニタリングする手法を確立した。しかしながら、コロナウイルスの影響で、研究の遅れが生じており、作用メカニズムの解明まで到達できるかが不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
作用を見出した生薬エキスおよび化合物について、アクロソームリアクションの観察や安全性の確認、精子運動解析等を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、実験や学会が中止となったため。 次年度は動物実験、化合物の分離・精製、作用メカニズム解明に予算を使用する予定である。
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