2019 Fiscal Year Research-status Report
腎障害マーカーL-FABPを用いた抗菌薬の新規投与設計法に関する研究
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18K14946
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 貴明 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30396676)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | L-FABP / 腎障害 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床上、薬剤性腎障害を含めた急性腎障害の頻度は高く、また予後に与える影響も大きい。腎障害については現在においてもその指標として血清クレアチニン(Cre)値がゴールドスタンダードとなっているが、上記のようにCre値は腎機能のリアルタイム指標ではないため、この値を用いた薬物投与設計が常に正確なものとなるとは限らない。Cre以外の急性腎障害のバイオマーカーも複数あるが本研究ではこのうち尿中L-FABPに着目している。 尿中L-FABPは従来のマーカー尿蛋白に比べ高い感度で、腎疾患の進行する患者を判別できることがわかっている。一方、現状ではL-FABPは「尿細管機能障害を伴う腎疾患診断の補助」的な観点からの保険適応しかなく、バンコマイシンなどの腎排泄型薬物の副作用モニタリングおよび投与設計への尿中L-FABPの応用に関する検討は現在までなされていない。Creでは腎機能の変化からタイムラグをもって変動がみられることや、患者の状態や病態によりCre産生量の低下が懸念されることは臨床では頻繁に見受けられ、そのような場合にはCreによる急性腎障害の診断は過小評価になりやすい。シスタチンCについても同様に併用薬剤によってはその値が大きく影響を受けるため、薬物療法管理の観点からは腎機能指標となり得ない状況が存在する。このような中、尿中L-FABPは尿細管障害による腎毒性を副作用として持つ腎排泄型薬物のモニタリングには最も理にかなったマーカー蛋白と考えられ、投与設計への有効的な活用が見込まれると考えられ、研究に着手した。 昨年度はまず患者検体を用いる前にL-FABPの最適な取扱い方法の検討から始め、続いてバンコマイシン、テイコプラニンを投与された入院患者のうち、同意が得られた者より検体を入手しデータ取得を開始した。本年度は引き続きデータ取得を続けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該使用薬剤の使用患者が当初の想定よりやや少なく、またそのうち研究上必要なタイミングで検体が入手できなかった症例が複数あったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今年度も引き続き本研究における対象患者より検体を得てデータ収集を実施していく。継続して病棟担当薬剤師とも連携を取り迅速に該当となる症例の把握も強化する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より症例数がやや少なかった影響により測定試薬の購入(消耗品費)が少なかったため。この差額分は2020年度の研究遂行において必要となる経費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)