2018 Fiscal Year Research-status Report
医療用ビッグデータを用いた薬剤有害事象検出:機械学習によるデータ駆動型アプローチ
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18K14950
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 正人 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80598714)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬剤疫学 / 機械学習 / 異常検知 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究「医療用ビッグデータを用いた薬剤有害事象検出:機械学習によるデータ駆動型アプローチ」は、医療費請求データなどの大規模既存データより、機械学習による異常検知が可能であるかを探索的に検討することを目的とする。題材として血糖降下薬の一つであるSGLT2阻害薬と、骨粗鬆症治療薬の一種であるビスフォスフォネート製剤の二つを選択した。これは、前者に一時的な腎機能低下や脱水などの、後者には顎骨壊死という従来薬とは異なった性質の有害事象が報告されているためである。 SGLT2阻害薬に関しては、100以上の企業健康保険組合保険データを取集する株式会社JMDCよりデータを入手した。これに先立ち、京都大学医の倫理委員会よりデータ取得に関する許諾を得ている。このデータよりSGLT2阻害薬に関連する可能性のある有害事象を抽出し、ベイズ構造時系列モデルによりSGLT2阻害薬発売開始前後での有害事象の件数の推移に変化点が存在するかを検証している。現在までのところ、88%の確率で変化点が検知できるという結果が得られているが、今後のモデル改良などに余地を残す。 JMDCデータはその性質上、高齢者が含まれない。一方でビスフォスフォネート製剤は高齢者での使用が多いことから、この年齢層の患者が含まれるレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の使用を予定している。京都大学にはNDBオンサイトセンターがあるため、他研究機関と比べればNDBデータを使いやすい環境にあり、使用申請をすでに行っている。使用可能端末数の関係から順番待ちの状態ではあるが、近々使用可能との連絡を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会の同意を得て、データを取得し、preliminaryではあるが解析結果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
SGLT2阻害薬に関しては、モデルの改良や感度解析を行う予定であり、今秋の国際学会発表を目的としている。 またビスフォスフォネート製剤についても近々データへのアクセスが可能となる見込みであり、解析に着手できる環境にある。
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Causes of Carryover |
国際学会に参加しなかったため当初見込みより旅費が少なかったこと、およびその他として計上した論文投稿料が少なかった(投稿先がオープン雑誌でなかった)ことが大きい。今年度は国際学会への参加予定があり、また研究成果の公表に関してオープン雑誌も対象先とすることも検討している。
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