2018 Fiscal Year Research-status Report
小児・新生児における抗MRSA薬の個別化投与法の確立
Project/Area Number |
18K14951
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 孝明 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (50725744)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小児・新生児 / 抗MRSA薬 / ファーマコメトリクス / 治療薬物モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
小児・新生児における薬物動態/薬力学(PK/PD)は、形態的な成熟過程を示す成長と機能的な成熟過程を示す発達が関与しているが、成長・発達過程を考慮した薬用量は多くの薬剤で定められていない。また、小児・新生児における抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬の投与設計は標準化されておらず、各施設で投与設計に難渋しているのが現状である。そこで本研究は、小児・新生児において頻用されている抗MRSA薬(バンコマイシン、テイコプラニン)に着目し、成長・発達過程を考慮した個別化投与法を確立することを目的とした。 2018年度は、2013年4月から2015年12月に九州大学病院にてテイコプラニンが投与された小児・新生児214例(早産児31例、新生児17例、乳児76例、2-6歳45例、6-17歳45例)を抽出し、399検体の血中濃度データを含む患児情報を用いて母集団薬物動態モデルを構築した。小児・新生児の成長および発達に伴うクリアランスの変化は、0.75乗でアロメトリー換算した体重、ならびに年齢(妊娠週数)によるシグモイド関数を用いてそれぞれ記述した。なお、解析プログラムには、Nonlinear Mixed Effect Model(NONMEM)ver. 7.2を用いた。母集団薬物動態解析の結果、テイコプラニンクリアランスに影響する因子として、体重、妊娠週数に加え、腎機能、血清アルブミン値が関与していることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、成長・発達過程を考慮した抗MRSA薬(テイコプラニン)の母集団薬物動態モデルの構築を初年度に完了しており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、構築したテイコプラニン母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーション解析により、年齢、影響因子で層別化した目標血中濃度域達成のための投与ノモグラムを作成する。さらに、日常診療で得られた小児・新生児のテイコプラニン血中濃度実測値を用いて、投与ノモグラムの予測精度を評価する。
|
Causes of Carryover |
2018年度は、テイコプラニンが投与された小児・新生児の血中濃度データを含む患児情報を用いて母集団薬物動態モデルを構築したが、その後に計画していた薬物動態パラメータを組み込んだTDM解析ソフトを用いた検討には至らなかったため、支出が予定より減少し次年度使用額が生じた。。 2019年度は、今回の使用額を予定の助成金と合わせて使用し、母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーション解析による投与ノモグラムの作成、ならびにTDM解析ソフトを用いた投与ノモグラムの予測精度評価を継続する予定である。
|
Research Products
(3 results)