2020 Fiscal Year Research-status Report
小児・新生児における抗MRSA薬の個別化投与法の確立
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18K14951
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 孝明 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (50725744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小児・新生児 / 抗MRSA薬 / ファーマコメトリクス / 治療薬物モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
小児・新生児における薬物動態/薬力学(PK/PD)は、形態的な成熟過程を示す成長と機能的な成熟過程を示す発達が関与しているが、成長・発達過程を考慮した薬用量は多くの薬剤で定められていない。また、小児・新生児における抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬の投与設計は標準化されておらず、各施設で投与設計に難渋しているのが現状である。本研究では、小児・新生児において頻用されている抗MRSA薬(バンコマイシン、テイコプラニン)に着目し、成長・発達過程を考慮した個別化投与法を確立することを目的として検討を進めた。 2020年度は、数理モデリングソフトにテイコプラニン母集団薬物動態モデル式を記述した初期投与設計シミュレーターを構築した。本ソフトウェアを用いることで、年齢や体重、腎機能に応じた初期投与設計を簡便に実施することが可能となった。 また、テイコプラニン生理学的薬物動態モデルを用いて、小児・新生児におけるテイコプラニンクリアランス値を予測した。その結果、生理学的薬物動態モデルにより予測されたクリアランスは、母集団薬物動態解析で観察された年齢依存的なクリアランスの増加を捉えていた。すなわち、実データに基づいて推定されたクリアランスの分布は、成長・発達に伴う生理学的変化により説明されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗MRSA薬(テイコプラニン)の母集団薬物動態モデルの構築ならびに投与ノモグラムの作成は当初の予定通り完了したが、生理学的薬物動態モデルを用いた検討を新たに追加したことで、実臨床における有用性の検証までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、日常診療で得られた小児・新生児のテイコプラニン血中濃度実測値を用いて、投与ノモグラムの予測精度を評価する。さらに、初期投与量の増減提案の有用性を前向きに検証し、個別化至適投与法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度は、小児・新生児における母集団薬物動態モデルの構築に関する内容で学会発表を予定していたが、2019年度に引き続き開催が中止となったことから支出が減少し次年度使用額が生じた。 2021年度は、前年度の未使用額を使用し、TDM解析ソフトを用いた投与ノモグラムの予測精度評価を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)