2018 Fiscal Year Research-status Report
酢酸誘発脳梗塞モデルマウスを用いた新規治療薬の探索および作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K14958
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
柴田 佳太 昭和大学, 薬学部, 助教 (50727328)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 脳梗塞 / SMTPs / 血栓溶解薬 / プラスミン活性作用 / 抗炎症作用 / 抗酸化作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞の急性期治療に用いられているtissue plasminogen activator (t-PA)による血栓溶解療法は、著名な症状改善が認められるが、脳内出血等の重大な副作用をもたらすことから、発症からの投与時間が制限されているため、それらを生じさせない新規治療薬の開発が強く求められている。本研究では、独自に開発した血栓溶解作用の評価が可能な酢酸誘発脳梗塞モデルマウスを用い、in vitroにおいて有用性が報告されているStachybotrys Microspora Triprenyl Phenols(SMTPs)のうち、SMTP-6, -22, -25, -43, -44Dの脳梗塞に対する効果を検討し、治療薬としての将来性を示すことを目的として開始された。平成30年度は、脳梗塞に対して効果を示す化合物を見出し、以下の点について明らかにした。 1. 脳梗塞に対するSMTPsの効果の検討 我々がこれまでに報告してきた方法に準じ、酢酸誘発脳梗塞モデルマウスを作製し、神経欠損症状、脳梗塞領域割合、脳浮腫率を指標として、SMTP-6, -22, -25, -43, -44Dの薬効を評価した。その結果、SMTP-22およびSMTP-43を投与した際に、脳梗塞に対する著名な効果を示した。 2. 脳梗塞に対するSMTPsの作用メカニズムの検討 酢酸誘発脳梗塞モデルマウスにSMTPsを投与した際のプラスミン活性作用、抗炎症作用、抗酸化作用を評価した。その結果、著名な効果を示したSMTP-22およびSMTP-43は、プラスミン活性作用、抗炎症作用および抗酸化作用を有していることが明らかとなった。 以上の結果から、SMTP-22およびSMTP-43が脳梗塞の新規治療薬候補となることが示唆され、その作用メカニズムとして、プラスミン活性作用、抗炎症作用および抗酸化作用を示すことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である本年度は、酢酸誘発脳梗塞モデルマウス用いて、SMTP-6, -22, -25, -43, -44Dの脳梗塞に対する効果を検討した。その成果として、SMTP-22およびSMTP-43が脳梗塞に対して著名な効果を示し、その作用メカニズムとしてプラスミン活性作用、抗炎症作用および抗酸化作用を示すことが示唆された。 これらの発見は、SMTP-22およびSMTP-43が脳梗塞の新規治療薬としての将来性を示す可能性を示唆している。当初の予定として平成30年度に実施予定であった用量依存性や適切な投与タイミングの検討は実施できなかったが、代わりに平成31年度に実施予定であったプラスミン活性作用、抗炎症作用および抗酸化作用の評価を実施できたため、本研究は順調に進んでいるものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究において、SMTP-22およびSMTP-43が脳梗塞の新規治療薬候補となることが示唆され、その作用メカニズムとして、プラスミン活性作用、抗炎症作用および抗酸化作用を示すことが示唆された。SMTP-22およびSMTP-43を更にご提供いただくには時間を要することとなってしまったことから、本年度は、これまでに脳梗塞において効果が示されたSMTP-7およびin vitroにおいて顕著な抗炎症作用が報告されているSMTP-27およびSMTP-44Dを用いて、抗酸化作用および抗炎症作用について更なる検討を実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究課題申請時の計画に従い、消耗品の購入および英文校正代に助成金をあてていたが、旅費の支出がなかったため、若干の次年度繰越金がでてしまう結果となった。 繰り越された研究費は少額であるため、次年度の消耗品購入費として繰り入れる予定である。
|