2018 Fiscal Year Research-status Report
抗精神病薬の脳内受容体占有率を基盤とした新規投与設計法の確立
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18K14959
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中谷 絵理子 (林絵理子) 帝京大学, 薬学部, 助教 (90803916)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗精神病薬 / 受容体占有 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット脳内ドパミンD2受容体占有率を測定するために、受容体高発現部位における特異的結合の測定方法を確立した。ラットにトレーサー量のラクロプリドを静脈内投与して線条体(受容体高発現部位)および小脳(受容体低発現部位)を摘出し、脳内濃度あるいはリガンド結合量を測定した。脳内濃度は固相抽出により、リガンド結合量は急速吸引ろ過により測定したところ、小脳に比べて線条体の脳内濃度は1.6倍、リガンド結合量は2.7倍となり、線条体におけるドパミンD2受容体の特異的結合の測定にはリガンド結合量の測定が適していることがわかった。次に、特異的結合を測定するにあたり適切なホモジナイズ方法を調べた。トレーサー投与後に摘出した脳組織をポリトロンホモジナイザーあるいはビーズクラッシャーを用いて調製したホモジネートを用いて測定したところ、ビーズクラッシャーを用いた場合では結合の低下が見られた。ホモジナイズ時の温度上昇による結合の解離が考えられ、ポリトロンホモジナイザーを用いたホモジナイズが適切であることがわかった。さらに、ラクロプリドの投与量と投与時間を最適化して特異的結合測定法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳内ドパミンD2 受容体占有率を評価するための特異的結合測定法を確立できたとし、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した脳内ドパミンD2受容体特異的結合測定法を用いて、被験薬の脳内ドパミンD2受容体占有率を示す。構築した受容体占有率測定法の妥当性はすでにヒトPET研究で報告されている受容体占有率との相関性を確かめることにより評価する。構築した受容体占有率測定法を利用して重複した作用の薬物併用時における受容体占有率を示し、抗精神病薬の多剤併用時における受容体占有率への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成30年度に購入予定であった消耗品費が当初予定よりも低予算で済んだため、次年度使用額が発生した。 次年度使用額は消耗品費として使用する予定である。
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