2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K14960
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
茨木 ひさ子 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (50736444)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リポソーム / 経皮投与 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経皮送達性に優れたリポソーム特性の探索を目的とする。平成30年度は、異なる表面電荷を有するリポソームによる経皮送達性について評価した。はじめに、表面電荷が+60、+40、+20、±0、-20、-40、-60 mVの7種類のリポソーム調製を試みた。正電荷脂質、中性電荷脂質、負電荷脂質を組み合わせ、目的とする表面電荷を有するリポソームを調製するための脂質処方条件を確立した。次に、蛍光標識脂質を含有させた表面電荷の異なる7種類のリポソームをマウス皮膚に経皮投与し、一定時間後の皮膚切片を共焦点レーザー顕微鏡により観察したところ、表面電荷の絶対値が低い+20、±0、‐20 mVのリポソームでは、皮内への移行は少なく皮膚表面にのみ局在した。一方で、表面電荷の絶対値が高い+60、+40、‐40、‐60 mVのリポソームでは、皮内広範囲へ分布が観察された。加えて、ヒト表皮細胞から分化させた3次元培養表皮モデルを用いて検討したところ、同様の結果を得た。以上のことから、正電荷、負電荷に関わらず、絶対値40 mV以上の表面電荷をリポソームに付与することにより、皮内広範囲への効率的な経皮送達が可能であることを新たに明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は当初の予定通り、リポソームの表面電荷が経皮送達性に与える影響について詳細に検討を行った。表面電荷の異なる7種類のリポソーム調製法ならびに処方条件を確立し、正電荷、負電荷に関わらず絶対値が高いほど、経皮送達性が向上することを明らかとした。以上より、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年では、リン脂質の疎水基・親水基の差異がリポソームの経皮送達性に与える影響について評価する予定である。具体的には以下に記載する項目について検討する。 ①疎水基・親水基の異なる種々の脂質を含有するリポソームの処方条件を各々確立する。 ②これらのリポソームをマウス皮膚、3次元培養表皮モデルへ投与後の皮内局在を共焦点レーザー顕微鏡により定性的に観察・解析を行う。さらに、in vitro皮膚透過試験により定量的評価を行う。 ③平成30年度で得られた結果と合わせて、経皮送達に求められるリポソーム特性について統計化する。
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Causes of Carryover |
理由:研究計画はほぼ予定通り進んでおり、脂質類や実験動物、消耗品等について、無駄なく購入・使用することができたため。 計画:次年度計画を遂行するために必要となる脂質類、実験動物の購入、研究成果の発表のための出張費用、論文投稿費用としての使用を予定している。
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