2018 Fiscal Year Research-status Report
改良型アデノウイルスベクターを用いた脂肪毒性の抑制による糖尿病の遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
18K14964
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
清水 かほり 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (50737749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 / アデノウイルスベクター / 脂肪毒性 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、2型糖尿病の発症および重篤化の要因として、脂肪毒性に大きな注目が集まっている。肝臓は、普段より脂質代謝の中心臓器でもあることから、肝臓は脂肪毒性による2型糖尿病治療の重要な標的臓器であると考えられる。そこで本研究では、マウスの肝臓に脂質代謝に関与する遺伝子を高発現させることで脂肪毒性を抑制し、2型糖尿病への治療効果を試みることとした。 研究代表者が独自に着目した3種類の脂質代謝関連遺伝子を、研究代表者らが開発した、肝障害性が低く、長期に発現が可能な改良型アデノウイルス(Ad)ベクターにそれぞれ搭載し、大量にAdベクターを調製することに成功した。作製した脂質代謝関連遺伝子を発現するAdベクターのひとつを、健常マウスおよび2型糖尿病モデルマウスに投与した。2週間後にマウスの肝臓を採取し、当該遺伝子の発現量を定量的RT-PCRおよびウェスタンブロッティング法を用いて検討した。その結果、作製したAdベクター投与群は、コントロール群と比較して当該遺伝子の発現が顕著に増大していた。次に、当該遺伝子の過剰発現が耐糖能に対してどのように影響するかを調べるため、健常マウスおよび2型糖尿病モデルマウスにAdべクターを投与し、数週間後に糖負荷試験を行った。その結果、当該遺伝子を発現するAdベクター投与群は、コントロール群と比較して、血糖値の上昇が有意に抑制された。したがって、着目した脂質代謝関連遺伝子を過剰発現させることにより、耐糖能が改善することが示された。本研究結果より、当該遺伝子は2型糖尿病治療薬の新たなターゲットとなる可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が独自に着目した脂質代謝関連遺伝子のひとつが、耐糖能の改善に関与することを見出し、学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
耐糖能の改善への関与が見出された遺伝子を搭載したアデノウイルスベクターを、2型糖尿病モデルマウスに投与し、2型糖尿病に対する治療効果およびそのメカニズムを詳細に検討する。具体的には、体重測定、耐糖能試験、生化学検査(血糖値、中性脂肪値、ALT値など)、内分泌学的検査(インスリン値など)等を実施する。さらに、インスリンシグナリングの変化を、ウェスタンブロッティング法を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
研究の遂行に必要な試薬を、試薬が通常よりも安価で購入できる期間に購入できたため、次年度使用額が生じた。
次年度の助成金は、実験用動物、遺伝子発現解析試薬(定量的RT-PCR試薬、合成オリゴ、抗体等)、生化学検査用試薬(血糖値測定用センサー、血清中インスリン値測定用ELISA等)、学会発表用の旅費等を中心に使用する計画である。
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Research Products
(11 results)