2018 Fiscal Year Research-status Report
機械学習技術を用いた医薬品の投与量チェックシステムの構築と実臨床への応用
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18K14984
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 健一郎 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (30812896)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 処方チェックシステム / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品の投与量に関する処方ミスは患者へ重篤な健康被害を与える可能性もあることから、実臨床では投与量に対する精度の高い処方チェックシステムの実現が望まれている。本研究では、電子カルテに蓄積されている大量の診療データを活用し、機械学習の技術を適用することで、これまでに報告のない新規処方チェックシステムを構築することを目指す。 平成30年度の研究実績は下記の通りである。 1.診療データの解析結果を実臨床へフィードバックする仕組みの構築:電子カルテシステム(HOPE EGMAIN-GX、富士通株式会社)のデータ・ウェアハウス(DWH)機能を用いて電子カルテから診療データ(処方、注射、検査、病名データ)を抽出し、解析結果を薬剤師が確認の上、処方介入(疑義照会)を行う仕組みを構築した。 2.学習データの準備:DWH機能を用いて、九州大学病院における過去5年間(2014年1月1日~2018年12月31日)の処方データを電子カルテから抽出した。また、処方時点における患者の年齢、性別、身長、体重、クレアチニンクリアランス(Ccr)のデータを取得し、個々の処方データへの紐づけを行った。なお、一日投与量が明らかでないものや欠損値を含むものは学習データから除外した。 3.機械学習アルゴリズムの選択と規則構造(モデル)の構築・最適化:学習データを用いて、医薬品の投与量を目的変数、年齢、性別、身長、体重、Ccrを説明変数(特徴量)として、機械学習アルゴリズムの選択およびモデル構築・最適化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究により、診療データの解析結果を実臨床へフィードバックする仕組みの構築が完了し、第28回日本医療薬学会年会にて成果報告(口頭発表)を行った。また、学習データの準備も既に完了していることから、進捗状況はおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究では、機械学習アルゴリズムの選択とモデルの構築・最適化について引き続き検討を行う。DWH機能により、1日1回、新規処方データ(約1万件/日)を電子カルテから抽出し、構築したモデルに適用する。異常データが検出された処方について、電子カルテの詳細な記載を薬剤師が確認し、医師への疑義照会を行う。また、新規処方データ(異常データを除外したもの)を学習データに追加・蓄積し、反復的にモデルを再構築することで、モデル性能のさらなる向上を図る。本システムの導入前後における薬剤師による疑義照会(投与量の処方ミスに関するもの)の件数、および院内で発生した投与量の処方ミスに起因する医療過誤(インシデント・アクシデント)の件数等を比較解析することにより、本システムの有用性を評価する。
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Causes of Carryover |
機械学習解析用コンピューターを予定よりも少額で購入できたことから、次年度使用額が生じた。研究の進展に伴い、データ解析に必要なソフトウェア・ハードウェアが新たに発生する可能性が高く、次年度使用額を用いての購入を検討している。
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