2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞内脂質代謝によるKupffer細胞機能制御におけるFABP7の役割の検討
Project/Area Number |
18K14998
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 啓史 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90803867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロファージ / 脂肪酸結合蛋白質FABP / Kupffer細胞 / 細胞内脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージは、細胞内外の刺激に応答して、糖や脂質の代謝が変化することにより、炎症性(M1)と抗炎症性(M2)の機能へと変化させると考えられている。我々は、これまでに、肝マクロファージ(Kupffer細胞、KC)に発現する脂肪酸結合蛋白質7型(FABP7)が、マクロファージのM2極性化に特徴的な、死細胞貪食能を制御することや、肝線維化過程に関わることを、Fabp7遺伝子欠損(Fabp7-KO)マウスを用いた検討から明らかにしている。さらに、野生型(WT)およびFabp7-KOマウスの骨髄由来マクロファージ(Mac)を用いた検討から、Fabp7-KO Macでは抗炎症性(M2)機能の関連遺伝子の発現がWT Macと比較して低下することを確認している。これまでの報告から、M2極性化する際、脂質の代謝が亢進することが明らかにされている。 今回、脂質代謝関連遺伝子の発現および脂肪酸の取り込み、脂肪酸酸化機能についてWT Mac、Fabp7-KO Macで検討した。脂質代謝関連遺伝子では、Fabp7-KO MacでCD36の発現低下が認められた。CD36は脂肪酸取り込みに重要な分子で、脂肪酸と取り込み実験においてもFabp7-KO Macで低下傾向を示した。また、放射線同位体元素を標識した脂肪酸を用いた脂肪酸酸化機能の検討においては、WT-Macと比較してFabp7-KO Macで有意に低下していた。以上のことから、FABP7はCD36を介した脂肪酸取り込みおよび、脂肪酸酸化の両者に関与し、マクロファージのM2極性化する際の脂質代謝を亢進させる可能性が示唆された。今後、CD36発現制御機構や脂肪酸の取り込みや代謝に関連因子とFABP7との相互関連について検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
並行して遂行していた研究の論文執筆およびリバイス実験を行う必要があったため、本申請の研究が遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いた実験と、疾患モデルマウスを用いた実験を並行して行うことで、遅れを取り戻すよう、精力的に研究を進める。
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