2020 Fiscal Year Annual Research Report
How we humans lost a tail?: Investigation of tail morphogenetic process in short-tailed amniotes during embryonic development
Project/Area Number |
18K15008
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
東島 沙弥佳 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10792830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 尾部退縮 / 有羊膜類 / 発生 / Human tail / 細胞死 / 体節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018-2019年度は、ニワトリプロジェクトとハムスタープロジェクトに取り組んだ。 ニワトリプロジェクでは、汎カスパーゼ阻害剤を用いた細胞死阻害実験を行った。結果、ニワトリ胚発生過程において生じる著しい尾部退縮には、尾部神経管における細胞死が重要である可能性がみえてきた。これは、外胚葉由来の尾部神経管で生じる細胞死が、中胚葉由来の尾部体節に作用し協調的に尾部が退縮するメカニズムの存在を示唆している。 またハムスタープロジェクトでは、尾長の異なる齧歯類の尾部形態形成過程を比較し、長尾種と短尾種で尾の発生過程が異なることを見出した。すなわち、長尾のマウス・チャイニーズハムスターでは尾部先端のみが時間をかけて退縮するのに対し、短尾のキャンベルハムスターでは体軸伸長が終了し尾部が最長となった直後に著しく尾部が退縮する。短尾齧歯類で観察された尾部退縮は、ヒト胚やニワトリ胚で観察してきた事象と非常に類似しており、短尾形質を形成する発生過程のメカニズムが広く有羊膜類間で保存されている可能性がみえてきた。 上記2つの研究プロジェクトは2019年度に先進ゲノム支援課題に採択され、短尾を形成する遺伝子の探索もスタートさせたのだが、2020年度はコロナ禍のため計画の大幅な変更が余儀なくされた。実験が不可能な時期が長く続いたため、両プロジェクトの続行は一旦中断し、これまでに培った正常発生に関する知見を活かしてヒトの先天異常「Human tail」の理解という新規プロジェクトに急遽取り組んだ。本奇形は胚子期の尾部退縮異常により生じるとされてきたが具体的検証はなされておらず、致死的奇形ではないものの患者のQOLを著しく損なう恐れがあった。そこでこれまでの症例報告を精査したところ、本奇形は胚子期尾部退縮異常が成因ではないこと・外観が似ていても4種の異なる成因が考えられることを見出した。
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Research Products
(5 results)