2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism for triggering an onset of atopic dermatitis
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18K15022
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮井 智浩 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員 (30812549)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 分子病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) レポーターマウスの作製 当初の計画通り、最初期遺伝子のFosおよびNr4a1-GFPレポーターマウスを導入し、アトピー性皮膚炎モデルのSpadeマウスとの交配を行なった。各マウスを用いてフローサイトメトリーによってGFPの発現を確認したところ、特に線維芽細胞や表皮ケラチノサイト、ミエロイド系血球細胞で発現の誘導が認められた。一方で、これらのレポーターは蛍光レベルが低く、ライブイメージングへの供試は困難であった。現在、組織切片を抗GFP抗体で染色することにより、細胞の局在同定を試みている。 2) アトピー性皮膚炎発症に寄与し得る下流因子の同定 皮膚に局在する各細胞種をセルソーターで分取し、RNAシークエンスを用いて下流因子の探索を行った。その結果、ある分泌因子が発症のオンセットに寄与している可能性が示唆された。さらに、健常人およびアトピー性皮膚炎患者より採取させていただいた皮膚組織を用いたトランスクリプトーム解析によって、当該因子が一部のアトピー性皮膚炎患者において突出して高値を示すことを確認した。この因子はこれまでアトピー性皮膚炎病態への関与が報告されておらず、炎症反応における標的細胞についても未同定である。現在、この因子の詳細な作用機序に関して精査を進めるとともに、当該因子の欠損マウスをCRISPR/Cas9法を用いて作出し、表現型の解析を行っている。また、マイクロダイセクションおよびシングルセルレベルのRNAシークエンス法の条件検討に関しても順調に進展しており、今後、ヒト組織サンプルへの適用を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたライブイメージングの実施は困難であったものの、他の実験手法を用いることにより発症に関与しうる下流因子の同定に至っている。ノックアウトマウスの作出に関しても目的の変異が導入された系統がすでに取得できており、順調にSpadeマウスとの交配も進んでいることよりおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
下流因子ノックアウトと交配したSpadeマウスの表現型解析を進める。仮に病態に大きく改善が認められた場合は、抗体や化合物を用いた阻害実験も行うことで、ヒトへのトランスレーショナルリサーチへの発展を視野に入れた検証を進める。さらにヒト組織を用いた組織学的解析・マイクロダイセクションを用いたRNA-seq解析に関しても推進する。
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