2019 Fiscal Year Annual Research Report
Functional evaluation of iPSC-derived cardiomyocytes in DMD patients by exon skip therapy
Project/Area Number |
18K15026
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
佐藤 充人 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 流動研究員 (10816630)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 心筋 / アンチセンス核酸医薬 / エクソン・スキップ治療 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から継続し、DMD遺伝子エクソン46-55欠失型DMD患者から樹立したiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導し、PMOを用いたエクソン・スキップによるジストロフィン発現回復の心筋での効果を検証した。細胞内Ca2+イメージングにより、エクソン・スキップ前後で不規則な自発性細胞内Ca2+上昇の頻度低下 (不整な収縮を呈する心筋細胞の減少)が確認され、Ca2+トランジェントの解析により、筋小胞体におけるCa2+ 動態の改善が示唆された。Traction force microscopy を用いた力学的解析では、心筋細胞の収縮力をポリアクリルアミドゲルに埋め込まれた蛍光ビーズの平面変位を測定することで評価を試みたが、単一細胞のゲル上での培養が困難であり、定量的に評価することができなかった。またマイクロアレイ解析では、PMO投与後の心筋細胞でカルシウム動態に関与する遺伝子発現が変化する傾向が見られ、ジストロフィンの発現回復により心筋細胞でのカルシウム動態の変化が示唆された。以上の結果から、機序については明らかではないが、ジストロフィン回復が筋小胞体におけるCa2+動態の改善に寄与していることが考えられる。筋小胞体が関与した細胞内 Ca2+濃度上 昇は心室性不整脈の原因となることが報告されており、ジストロフィン回復によりそれらの致死性不整脈発生の抑制効果が期待される。DMD 患者の約 60%がエクソン 45-55 領域内に変異を有し、またエクソン45-55を全て欠失したBMDは非常に症状の軽い臨床像を呈することが明らかとなっており、エクソン45-55領域全てを対象としたマルチエクソン・スキップ治療は多くの患者に適応され、かつ高い治療効果を得られる可能性がある。本研究結果はエクソン45-55領域のマルチエクソン・スキッピング治療がDMDの心筋障害に対しても有用である可能性を示唆している。
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Research Products
(2 results)