2018 Fiscal Year Research-status Report
Integrative application of human and Mycobacterium tuberculosis genomic information to identify genetic risk factors for tuberculosis onset shared among different populations
Project/Area Number |
18K15041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大前 陽輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (70722552)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノムワイド関連解析 / ヒトゲノム / 病原体ゲノム / 結核 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では集団間で共通する結核発症の遺伝的要因を明らかにすることが目的である。代表者は2017年に感染結核菌ゲノム中の遺伝的マーカーで結核患者を層別化してヒトゲノム多型の関連解析を行うという新しい解析法により、タイ人結核患者群において非北京型の結核菌感染時の発症と関連する新規の結核発症遺伝要因CD53を報告している。本研究計画においてこのヒトゲノムと結核菌ゲノム両面の統合的解析を発展するとともに、日本人結核患者群に対しても適用し、ヒトゲノム変異と結核菌ゲノム変異の相互作用を日本人集団とタイ人集団の両集団で解析・比較する。 当該年度において代表者は、結核菌の北京型と非北京型というサブタイプを分けるこれまでマーカーとしていたゲノム欠失領域には機能的な遺伝子の報告が無いことから、まずタイ人結核患者群において、結核発症に関連する結核菌のゲノム多型を探索した。具体的には、結核菌の全ゲノム配列情報から、これまでのゲノム欠失領域による分類時よりもさらにヒトゲノム多型のリスクを上昇させる変異が、結核発症に寄与する機能的な変異であると期待し探索した。その結果、32個の結核菌ゲノム変異が北京型と非北京型による結核患者分類時よりも強いCD53領域の関連を示した。また、259のヒトゲノム領域と結核菌ゲノム多型の組み合わせがゲノムワイド関連解析における一般的な統計学的有意水準である5E-08以下のP値を示した。しかしながら、多数の結核菌ゲノム多型の検討による多重検定補正を考慮すると有意な関連と判断するに至らず、今後追加のタイ人結核患者群や日本人結核患者群とのメタ解析の必要性が明らかとなった。また、日本人結核患者群においても、結核研究所における倫理承認手続きが完了するとともに、CD53遺伝子のリスク多型をホモに持つ結核患者検体の絞り込みを行い、当該患者由来の結核菌の培養ならびにゲノム抽出を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において代表者は、タイ人結核患者由来ヒトゲノムデータと結核菌ゲノムデータを用いて、これまでの結核菌の遺伝系統に基づく分類よりもさらに高分解能な結核菌全ゲノム配列情報に基づく分類による関連解析を行った。その結果、CD53領域のSNPの結核発症との関連が遺伝系統に基づく分類時よりも強く見られる結核菌ゲノム多型を同定した。また、日本人結核患者群における解析を進めるため、検体を保管する結核研究所における倫理審査の承認を得るとともに、日本人結核患者由来結核菌のゲノムを取得も完了した。また、タイ保健省医科学局の共同研究者との連携のもと、追加のヒトゲノムと結核菌ゲノムデータの取得も進んでおり、次年度以降に解析が可能となる。以上のように、データ解析とともにデータ自体の取得とその準備も順調に進んだことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度取得した日本人結核患者由来結核菌ゲノムに対して次世代シーケンサーによる全ゲノム配列解析を実施し、取得した結核菌ゲノムデータを用いて日本人結核患者群における関連解析を進める。結核菌の全ゲノム配列情報をもとづく分類によるヒトゲノム多型の関連結果から、今年度実施したタイ人集団での結果と次年度実施する日本人集団での結果で共通する結核菌のゲノム変異とヒトゲノム多型の組み合わせを同定する。さらに、絞り込んだゲノム変異を有する結核菌に感染した患者集団を対象として、既に得ているヒト側の全ゲノムSNP情報を活用して再解析も行い、さらなる結核発症関連遺伝要因を明らかにする。菌体ゲノム側の情報を考慮した分析によって、ゲノム情報に基づかないこれまでの分析よりもノイズの減少した感度の良い解析が期待出来る。
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Causes of Carryover |
今年度使用額の物品費についてはタイ人結核患者検体のゲノムデータ取得に充てる方針であったが、共同研究を行っているタイ保健省医科学局との協議の結果、タイ側の研究費による実施方針となった。そのため、今年度使用予定であったタイ人結核患者群ゲノムデータ取得用費用を、日本人結核患者群ゲノムデータ取得費用とする方針に変更した。日本人結核患者群については今年度ゲノムサンプルを取得し、翌年度にデータ取得を実施する計画であったため、翌年度への繰り越しが生じた。既に日本人結核患者由来ゲノムサンプルの取得は完了していることから、次年度前半中には繰り越し分と翌年度の助成金とを併せて使用し、ゲノムデータ取得を完了する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Mycobacterium tuberculosis identified from pathogen lineage based genome-wide association study in tuberculosis2018
Author(s)
Omae Y, Toyo-oka L, Mahasirimongkol S, Yanai H, Smittipat N, Palittapongarnpim P, Nedsuwan S, Wattanapokayakit S, Satproedprai N, Sawanpanyalert P, Inunchot W, Pasomsub E, Wichukchinda N, Mushiroda T, Kubo M, Tokunaga K
Organizer
American Society of Human Genetics (ASHG)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Pathogen lineage based genome-wide association study in tuberculosis revealed interplay among host and pathogen genomes2018
Author(s)
Omae Y, Toyo-oka L, Mahasirimongkol S, Yanai H, Smittipat N, Palittapongarnpim P, Nedsuwan S, Wattanapokayakit S, Satproedprai N, Sawanpanyalert P, Inunchot W, Pasomsub E, Wichukchinda N, Mushiroda T, Kubo M, Tokunaga K
Organizer
Japan Society of Human Genetics (JSHG)/日本人類遺伝学会総会