2019 Fiscal Year Research-status Report
中心体複製開始の分子制御機構を利用した新たな抗癌剤開発
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18K15042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 貴紀 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30707576)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PLK4 / 中心体 / 母中心小体 / 発癌 / 染色体不安定性 / 繊毛病 |
Outline of Annual Research Achievements |
中心体は、微小管構造である母および娘中心小体とその周囲に液-液相分離を基に形成される蛋白質複合体PCMによって構成される細胞内小器官の一つである。中心体は細胞分裂期において双極性の紡錘体極として微小管重合ネットワークを制御することにより染色体の均等分配に本質的な役割を担っている。中心体数の異常は染色体の不安定性(染色体の異数性、欠失、転座など)を惹起し、発癌および癌の悪性度を高める要因となる。このため中心体数はG1期には1つ、S期に複製されて2つになる様に厳密に制御されている。しかし中心体複製の分子制御機構に関しては不明な点が多く残されている。 中心体複製にはリン酸化酵素Polo-like kinase 4(PLK4)が中心的役割を担う。中心体複製期にPLK4は母中心小体の基底部に移行することにより新規中心小体(娘中心小体)の複製を開始することが知られる。中心小体複製においてPLK4は極めて重要な役割を担うが、翻訳された細胞質のPLK4が(中心小体複製の場となる)母中心小体の基底部に輸送される分子機構に関しては未だに不明な点が多い。 我々は中心体複製期に先行して起こる中心体複製の鍵分子PLK4の中心体移行機構の解明を試みた。まずPLK4の系統的欠損変異体を作成してその細胞内局在を免疫染色により観察した結果、PLK4分子の中心体移行領域を特定した。更にこの中心体移行領域に特異的に結合する分子を質量分析による網羅的探索を行い複数の候補分子を同定した。またこれらの分子を介して制御される中心体輸送機構に関しても大方解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中心体複製の鍵分子PLK4と特異的に結合する分子を質量分析による網羅的探索を行った結果、PLK4の中心体移行に関わる分子を複数同定することに成功した。更にこれらの分子によって制御されるPLK4の中心体移行の分子制御機構に関しても大方解明した。また同制御機構に関する数理モデルを構築してシミュレーション解析を行ったところ、この分子機構の破綻によって癌の悪性化が高まることも見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
PLK4の中心体輸送機構に関する数理シミュレーションで得られた結果に関して、培養細胞または動物レベルでも同シミュレーション結果の再現性が得られるか検証することにより、PLK4の中心体移行に関する時空間制御に関して統合的に理解を深める。 またこれまでに得られた知見を基にして、新たな抗癌剤の開発も進めていく。
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