2018 Fiscal Year Research-status Report
脳形成に関与する選択的オートファジー制御分子Alfyの機能解析
Project/Area Number |
18K15043
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
蔭山 俊 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30624225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オートファジー / 選択的オートファジー / Alfy / GABARAP / 自閉症スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
標的分子を選択的にリソソームにて分解する選択的オートファジーの障害が疾患発症の要因になりうることが明らかになりつつある。本研究課題では、選択的オートファジー関連タンパク質の一つであり、自閉症スペクトラム症の原因遺伝子として同定されているAlfyに焦点を絞り、1) Alfyの制御する細胞機能とその分子機構、2) 個体レベルにおけるAlfyの生理機能、そしてこれらを統合することで 3)Alfyとヒト疾患との関連の解明を目指し解析を進めた。 Alfyを欠損させたマウス線維芽細胞(MEFs)において、正常細胞と同程度のオートファゴソーム形成や長寿命タンパク質の分解が確認された。また、Alfy欠損MEFsに感染したネズミチフス菌は、野生型MEFs同様に選択的オートファジーにより排除された。このことより、Alfyの欠失はオートファジーに大きな影響を与えないと考えられる。そこで我々は、Alfyの機能を明らかにするため、質量分析法を用いて相互作用タンパク質を同定した。その結果、Alfyが複数の細胞内小胞輸送経路に関わる分子と相互作用することを見出した。そこでAlfyの細胞内局在を観察したところ、Alfyがエンドソーム上に一過的に局在することがわかった。相互作用タンパク質がAlfyの局在に与える影響を調べるため、現在、CRISPR-Cas9システムを用いて遺伝子欠損細胞を作成中である。また平行して、約400 kDaと巨大タンパク質であるAlfyを細胞に発現させるための手法を確立した。アデノウイルスを用いたこの系を用いることにより、遺伝子導入効率の低い細胞を含む広範な細胞種でのAlfyの発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、Alfyのオートファジーへの関与、ならびに機能解析のための相互作用タンパク質の探索を行い、複数の候補タンパク質を同定した。また、今後の機能解析に有用であるAlfy発現系も確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析により得られた相互作用タンパク質とAlfyの機能関連を解析する。CRISPR-Cas9システムを用いてAlfyもしくは相互作用遺伝子を欠失させ、両者の局在や機能に影響が認められるかを調べる。また、申請者らが見出したAlfyと相互作用するタンパク質の一つであるGABARAPも小胞輸送に関わることから、相互作用タンパク質、AlfyおよびGABARAPの3者の機能的な関連を調べる。蛍光タンパク質を融合したAlfyを発現させ、これまで明らかにされていないAlfyの細胞内動態を観察する。加えて、作成した神経特異的Alfy欠損マウスの表現型解析および形態学的解析を行う。
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