2018 Fiscal Year Research-status Report
Muscle fiber type specific dystrphic phenotype in murine model of nuclear envelopathies and NQO1 as a target for potential therapy
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18K15052
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
和田 英治 東京医科大学, 医学部, 助教 (60756948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核膜病 / 骨格筋線維タイプ / NQO1 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜および核ラミナのタンパク質異常によって発症する核膜病は、早老症や筋疾患、心疾患、代謝異常と多様な症状をしめす。そのため臨床や基礎医学分野において非常に注目されているが、病気の発症機序に不明な点が多く未だ有効な治療法はない。特に核膜関連タンパク質の異常が骨格筋に及ぼす影響や筋変性の分子機序の解明が十分に進んでいない。本研究では、原因遺伝子の異なる核膜病モデルマウス(エメリン欠損、A型ラミン変異)を用いて骨格筋の病態を解明し、候補治療薬の発見を目指している。本年度は、モデルマウスの心筋病態と骨格筋病態を比較し、詳細に解析した。A型ラミン変異(H222P)マウスは30週齢前後に、心筋症のため死亡することが報告されている。同様に、エメリンとA型ラミンの二重変異(EH)マウスも30週齢前後に心筋症のため死亡することが明らかとなった。一方、骨格筋においては、H222Pマウスと比較してEHマウスで症状の悪化が認められた。さらに、12週齢のEHマウスは、心筋機能は保たれているものの、骨格筋では明らかな筋ジストロフィー症状と運動機能の低下が認められた。また電子顕微鏡と免疫染色法を用いた解析から、心筋と骨格筋内の核は形態異常を示すものの、タンパク質発現量に差は認められなかった。蛇毒(カルジオトキシン)を用いた筋損傷からの筋再生能(筋幹細胞の増殖・分化能)を評価した結果、核膜病モデルマウスは野生型と同等の再生能を保持していることも明らかとなった。また、マイクロアレイ解析から、筋障害の認められる遅筋線維においてNAD(P)Hキノン酸化還元酵素(NQO1)の発現が有意に低下していることを見出した。現在、酸化ストレスに対する応答性とミトコンドリア機能に焦点を当てて研究を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、核膜病モデルマウスの筋病態を詳細に解析し、候補治療薬の効果を検討する上で重要となる病態評価項目を明らかにすることができた。その内容は現在、海外学会誌に論文を投稿準備中である。また、酸化ストレス応答やミトコンドリア機能に関わる因子の遺伝子発現レベルを解析し、NQO1以外にも治療ターゲットとなり得る因子をいくつか同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定どおり、酸化ストレスやミトコンドリア機能に関与するNQO1をターゲットとした治療薬の投与を行い、その効果を検討していく。研究計画の段階では複数の候補治療薬を選定していたが、先行研究からすでに他の疾患に対する治療法として確立している候補治療薬Aの投与を先立って行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張の決済において残高を超過したため、次年度請求分と合わせて当該出張費の支払いに充てる。
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