2019 Fiscal Year Research-status Report
Muscle fiber type specific dystrphic phenotype in murine model of nuclear envelopathies and NQO1 as a target for potential therapy
Project/Area Number |
18K15052
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
和田 英治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60756948)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核膜病 / 骨格筋線維タイプ / NQO1 / ミトコンドリア / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜病は核内膜および核ラミナに存在するタンパク質の異常が原因で、様々な疾患を引き起こす。その中でエメリー・ドレイフス筋ジストロフィー(EDMD)は、エメリンやラミンA/Cの遺伝子異常によって起こり、筋力低下、心伝導障害、関節拘縮を主病変とする。本研究では様々な核膜病モデルマウスを用いて、骨格筋の病態を解明し、候補治療薬の発見を目指している。我々は、ほとんど筋ジストロフィー症状を呈さないエメリン欠損(Emd)マウスと進行性の心障害を起こすラミンA/C変異導入(H222P)マウスを交配させた二重変異(EH)マウスを作出した結果、EHマウスは若齢から骨格筋にのみ障害が認められた。EHマウスの結果は、EDMDの骨格筋病態を再現する最適なモデルマウスとして報告した(Wada, et al. PLoS One, 2019)。 マイクロアレイ解析から、障害の認められる筋部位においてミトコンドリアに関与する遺伝子が顕著に変動しており、とりわけNAD(P)Hキノン酸化還元酵素(NQO1)の発現が有意に低下していることを見出した。組織化学的染色(NADH-TR, SDH)と電子顕微鏡観察によりミトコンドリアの異常を認めたことから、ミトコンドリア(NQO1の発現)の機能低下が核膜病の骨格筋病態に関与していると考えた。そこで本年度はNQO1の発現を増加させることが報告されている候補治療薬2種類をEHマウスに投与し、骨格筋におけるその効果を検討した。その結果、どちらの候補治療薬も骨格筋内のNQO1発現量に増加効果は認められず、筋病態も改善しなかった。そこで現在はミトコンドリア病の候補治療薬を若齢EHマウスに投与し、その効果を経時的に解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、核膜病モデルマウスの筋病態を詳細に解析し、候補治療薬の効果を検討する上で重要となる病態評価項目を明らかにすることができた。その内容は核膜病の骨格筋病態を再現する最適なモデルマウスの開発として報告した(Wada, et al. PLoS One, 2019)。 一方で、NQO1をターゲットにEHマウスに候補治療薬を投与したが、明らかな効果は認められなかった。その理由として先行研究では他の臓器でNQO1の発現を増加させることが報告されていたが、これらの治療薬は骨格筋での作用が異なった可能性が考えられる。現在は、NQO1を主要なターゲットとして、ひろくミトコンドリアに対する候補治療薬を用いて骨格筋病態に対する効果を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は現在進めているミトコンドリアをターゲットとした治療薬の効果を検討していく。すでに若齢から投与を開始しており、副作用等は確認されず順調に進んでいる。
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Causes of Carryover |
候補治療薬を変更したため購入費が少額となった。未使用額については次年度に継続して投与を行うための経費に充てる。
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