2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子治療を可能とするCRISPR/Cpf1による正確な欠失変異導入法の確立
Project/Area Number |
18K15054
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
高橋 剛 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (70802817)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR-Cas12a / 欠失変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、CRISPR-Cas12a(CRISPR-Cpf1)を用いたゲノム編集により、遺伝子ノックイン不要の高精度、高正確性をもつ欠失変異導入法を確立することを目的とする。我々は、Cas12aが切断部位に5'突出末端を形成することに着目して、2箇所の標的配列の切断後に生じる突出末端を相補的とすることで、ダブルカット後の末端同士を結合させる正確な欠失変異導入が可能であることを見出した。 昨年度は、ダブルカットによって形成される突出配列がランダムとなる人工標的配列をもつレンチウイルスライブラリを作製した。そこで今年度は、ドキシサイクリン誘導的にCas12aを発現するHEK293細胞を樹立し、この細胞へとウイルス粒子を感染させた。最終的に、ドキシサイクリン添加・非添加の区に細胞を分けて解析を行うことで、編集の前後の配列を検出し、配列変化を追跡できるようにした。はじめに、パイロット実験として小規模なアンプリコンシーケンス実施したところ、ドキシサイクリン添加区においてはCas12aによるダブルカットが生じ、さらにこのダブルカットが生じた配列はDNAバーコードによって編集前の配列を追跡できることが確認された。一方で、同一のリードが頻出する例や、ランダム化された突出配列が偶発的に一致するケースであっても、正確な欠失がほとんど検出されないなどの問題も浮かび上がってきた。また、Cas12aによるダブルカットの遺伝子治療への応用の可能性を探るため、筋ジストロフィー症モデルiPS細胞を用いたエキソンスキッピングの準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cas12aによるダブルカットをランダム配列を有する人工標的配列で実施し、実際に編集結果を得ることに成功した。一方で、正確な欠失条件となる配列の決定には至らなかった。また、疾患モデルiPS細胞でのCas12aダブルカットによるエキソンスキッピングが実施できていないことから、最終年度はiPS細胞での検証を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ランダム配列を有する人工標的配列の解析結果から、配列の偏りや多様性の低さが問題となることが示唆された。そこで、これらの問題を改善するため、1細胞あたりの人工標的配列のコピー数を増やし、さらに定量性の向上のため、より大量のリードが得られる条件での解析を実施する。さらに、正確な欠失変異導入の条件、すなわち突出末端が相補的である場合の配列変化の追跡だけでなく、非相補的な末端の組み合わせであっても、再現性のある編集効果のある組み合わせを探索する。また、Cas12aのダブルカットを筋ジストロフィー症モデルiPS細胞に応用することで、遺伝性疾患治療への応用の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、緊急事態宣言の発令などにより、想定していたよりも実験計画が円滑に進まず、購入物品が少なくすんだ為に残額が生じた。令和3年度に繰り越される予算については、令和2年度に実施できなかったiPS細胞での実験への使用に充てられる予定である。
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Research Products
(1 results)