2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜受容体CKAP4のエクソソームへの輸送メカニズムと生理機能の解析
Project/Area Number |
18K15064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 公一 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60595370)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CKAP4 / DKK1 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜上のタンパク質がエクソソームへ輸送および分泌される機構として、細胞膜上のタンパク質がエンドサイトーシスされ、多胞性エンドソームにリクルートされた後、開口放出される経路が知られており、タンパク質毎に、エクソソームへの輸送・分泌に関与する複数の遺伝子が報告されている。細胞膜上に発現するCKAP4はDKK1が結合することでクラスリン依存性エンドサイトーシスをうけ、上述の経路にのってエクソソームへ移行する。CKAP4のエクソソームへの移行の最初のステップにDKK1およびクラスリン依存性エンドサイトーシスが必要である。それ以降のCKAP4のエクソソームへの輸送機構を明らかにするため、CKAP4が細胞膜上に高発現、かつエクソソーム中に高発現する膵がん細胞株であるS2-CP8細胞において、エクソソーム形成や分泌に関与することが知られている10種類の遺伝子(endosomal sorting complex required for transport with the associated proteins であるTSG101、HRS、およびALIX、tetraspanin proteinsであるCD9、CD63、およびCD81、small G proteinであるRab27aおよびRab27b、 vacuole sorting proteinであるVPS26aおよびVPS35)をsiRNAによりノックダウンし、エクソソーム中CKAP4の発現量を比較した。その結果、配列の異なる2種類のsiRNAによるノックダウンでALIX、Rab27a、Rab27b、VPS26a、およびVPS35の5種類がCKAP4のエクソソームへの移行に重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では二年間の研究期間で、① CKAP4のエクソソームへの輸送メカニズム、②エクソソーム中CKAP4の生理機能を明らかにすることを目的としている。初年度は、① CKAP4のエクソソームへの輸送メカニズムに関して、膵がん細胞株S2-CP8細胞においてエクソソーム形成や分泌に関与することが知られている複数の遺伝子をsiRNAでノックダウンすることで、CKAP4のエクソソームへの移行・分泌に必要な5種類の遺伝子(ALIX、Rab27a、Rab27b、VPS26a、およびVPS35)を明らかにすることができた。すなわち、細胞膜上に発現するCKAP4にDKK1が結合し、クラスリン依存性のエンドサイトーシスをうけた後に、エクソソームへ移行・分泌される際に必要である遺伝子が明らかとなった。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を継続しながら、得られた研究成果を基に以下の解析を行っていく。 1)膵がん細胞株S2-CP8細胞においてCKAP4のエクソソームへの移行・分泌に必要であった5種類の遺伝子(ALIX、Rab27a、Rab27b、VPS26a、およびVPS35)が、他の細胞株でも同様に、CKAP4のエクソソームへの移行・分泌に必要であるか検討する。 2)CKAP4のエクソソームへの移行の最初のステップにDKK1およびクラスリン依存性エンドサイトーシスが必要であることを明らかにしている。また、DKK familyタンパク質であるDKK3がDKK1と同様にCKAP4に結合し細胞増殖を促進すること、エンドサイトーシスを誘導することを明らかにしている。以上の結果から、DKK1のみならず、DKK3依存性エンドサイトーシスもCKAP4のエクソソームへの移行を促進することを明らかにする。具体的にはDKK3および細胞膜上CKAP4高発現株において、DKK3を発現抑制することで、エクソソーム中CKAP4の発現が低下することを明らかにする。 3)エクソソーム中CKAP4の生理機能について解析する。S2-CP8細胞のCKAP4過剰発現株とCKAP4ノックアウト株の培養上清から、エクソソームを精製する(以下、CKAP4過剰発現エクソソームとCKAP4非発現エクソソーム)。精製したエクソソームによりCKAP4が低発現であるがん細胞株を刺激することで、CKAP4過剰発現エクソソームがCKAP4非発現エクソソームに比べて有意に遊走能(トランスウェルを用いたアッセイ)、浸潤能(マトリゲルコートされたトランスウェルフィルターを用いたアッセイ)を亢進するか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画が順調に進んでおり、当該年度に消耗品を新たに買う必要が無くなったため。 今年度から生化学的解析用の試薬や免疫不全マウスが必要であり、消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] CKAP4, a DKK1 Receptor, Is a Biomarker in Exosomes Derived from Pancreatic Cancer and a Molecular Target for Therapy.2019
Author(s)
Kimura, H., Yamamoto, H., Harada, T., Fumoto, K., Osugi, Y., Sada, R., Maehara, N., Hikita, H., Mori, S., Eguchi, H., Ikawa, M., Takehara, T., Kikuchi, A.
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Journal Title
Clin Cancer Res
Volume: 25
Pages: 1936-1947
DOI
Peer Reviewed
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