2018 Fiscal Year Research-status Report
Activin Bシグナルによるエネルギー恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
18K15075
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
小林 直樹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (80750728)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 糖尿病 / アクチビン / FGF21 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖産生反応の抑制が認められるActivin Bの過剰発現マウスの肝臓における網羅的遺伝子発現解析を実施し、発現変動が認められた遺伝子セットを用いてGSEA (Gene Set Enrichment Analysis) を行なったところ、HNF4α制御下遺伝子のエンリッチが認められた。実際に、in vitroにおいてHNF4の応答配列を持つルシフェラーゼコンストラクトを用いたプロモータ活性はリコンビナントActivin Bにより抑制されることを確認した。このことから、Activin BによるHNF4αの転写活性抑制を介した糖産生制御機構の存在が示唆された。現在、HNF4a活性を制御する分子機序について引き続き検討中である。 また、Activin Bによるインスリン感受性の亢進はFGF21を介したものであると考えられたため、FGF21誘導の機序についても検討した。Activin BによるFGF21発現誘導は、Acvr1b (ALK4) に依存的であった。なお、絶食時におけるFGF21発現誘導にはPPARaの関与が考えられているが、肝臓においてPPARaのノックダウン下においてもActivin BによるFGF21発現の亢進が認められたため、Activin BによるFGF21発現亢進作用はPPARa非依存的であることと考えられた。 さらに、Activin Bおよびその下流で活性化するALK2の強制発現によりグルコース応答性のインスリン分泌が亢進することを見出した。さらに、マウス肝臓における発現解析において、発現が上昇する遺伝子の中から肝臓から分泌されインスリン分泌を制御する可能性のある因子をいくつか抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓におけるActivin Bの作用の分子機序について、HNF4a転写因子を介した作用である可能性を明らかにした。また、Activin Bによるインスリン分泌亢進作用について、インスリン分泌を制御する可能性のある因子を複数抽出した。
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Strategy for Future Research Activity |
絶食時に肝臓において強く誘導されるActivin Bを欠失することで、個体のエネルギー恒常性にどのような影響があるのか、上記より得た肝臓特異的Inhbb欠損マウスと野生型マウスを比較することで、正常時および各種代謝ストレスモデル (絶食時・寒冷刺激時・肥満時・加齢など) において、血糖値を含む血中生化学値・体温・エネルギー収支・各組織における遺伝子発現解析等を行うことで検討する。 また、Acitivin BによるHNF4a制御の分子機序についてin vivo・in vitroの両面からより詳細に検討する。インスリン分泌亢進作用について、Activin B過剰発現の肝臓において発現が変動したいくつかの因子について、主にin vivoでインスリン分泌に対する影響を検討する予定である。
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