2019 Fiscal Year Annual Research Report
Clinicopathological and molecular analysis of hepatoid carcinoma
Project/Area Number |
18K15081
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤倉 航平 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50773751)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 肝様腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2001年から2014年までに神戸大学病院を主体に外科的切除された、胃原発の肝様腺癌 21症例 (肝転移2症例を含む) を対象として実験を進めた。これら全ての症例に関して、HE染色と免疫染色を施行して、レビューし、臨床病理学的特徴をまとめた。大部分の症例は低分化症例であり、AFPが一部の症例では陽性であり、肝細胞形質を反映しているものと考えられた。また新規の肝細胞癌マーカーであるBSEPとMDR3に関しても染色し、1症例を除いて陰性であることを確認した。肝様腺癌15症例に関して十分な組織が残っていることを確認し、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションおよびDNA抽出を試みた。胃癌の組織型の中でも、悪性度の高い肝様腺癌の研究は、非常にcompetitiveであり、本研究の施行中に遺伝子変異を解明した論文が複数報告された。しかしながらこれらの報告は腺癌で一般的なdriver mutationの同定に留まっており、本研究課題の核心である『高悪性度につながる肝細胞様形質の獲得に必要な遺伝的素因は何か?』『肝様腺癌と肝細胞癌・通常型胃癌の違いは何か?』という2つの問いは依然として未解明である。Driver mutationの同定のみでは、これらの問いへの解決に至らない可能性が高い点を加味し、RNA-sequencingやclonal evolutionを含めた実験系へ方針転換することとした。近年稀な上皮性腫瘍において、融合遺伝子の存在が確認されており、遺伝子発現解析とともに、RNA-sequencingを行う意義は大きいと考えられる。胃は肝様腺癌の最好発部位であり、本研究課題における対象臓器の主体であるが、他の諸臓器の肝様腺癌においても類似した発癌メカニズムが働いていることが確認できれば、横断的な疾患概念に結びつくと考えられる。
|