2020 Fiscal Year Annual Research Report
venous thrombus-derived DAMPs is associated with pathophysiology of venous thromboembolism
Project/Area Number |
18K15083
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
魏 峻洸 宮崎大学, 医学部, 助教 (30794656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 静脈血栓塞栓症 / 深部静脈血栓症 / 肺血栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
①癌関連血栓症の病態解析 深部静脈血栓症は、担癌患者を有する患者に多く発症することが知られており、癌関連血栓症として認識されている。癌関連血栓症は癌患者の生命予後に大きく関わる病態であり、その病態解明は喫緊の課題であり、癌関連血栓症特有の静脈血栓由来因子の有無について検討を行った。卵巣腫瘍症例を対象とし、血栓因子の発現の程度、腫瘍浸潤リンパ球、ならびに静脈血栓症発症との関連について調べた。病理組織学的解析の結果、組織因子発現と腫瘍浸潤リンパ球数は、静脈血栓症群で、有意に高かった。以上の所見より、腫瘍由来の血栓因子である組織因子が静脈血栓症発症と関わっており、更に腫瘍リンパ球浸潤が組織因子発現と関わっていることが示唆された。本研究成果は、人体病理に基づき、癌関連血栓症の発症機序を明らかとするものであり、癌患者の静脈血栓症発症の病態解明やリスクの層別化に大きく寄与するものと考えられる。 ②核磁気共鳴拡散強調画像(MR-DWI)を用いたDVTの質的診断法の確立 深部静脈血栓(DVT)の時相の評価は、抗血栓療法の効果予測に重要であるが、DVTの時相を評価する画像撮像はまだ確立されていない。DVT患者、静脈血栓の家兎動物モデル、ヒト静脈血を用いて、DWI撮像を行った。DVTはDWIで高~等信号が混在した信号強度を呈し、骨盤内DVTは下肢DVTよりDWI高信号の傾向を示した。家兎静脈血栓では、DWI信号強度は、赤血球の面積率と正の相関を相関を示した。In-vitro DWIでは、多赤血球血でADC低値を呈する傾向が見られた。以上の結果からは、DWIはDVTを明瞭に描出することが可能であり、DWI高信号は、赤血球に富む新鮮血栓を反映することが示唆された。本研究成果は、DVTの血栓因子質的評価を画像診断に応用したものであり、局在診断や進展リスクについて広く臨床応用が期待できる成果と考えられる。
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