2022 Fiscal Year Research-status Report
乳腺アポクリン癌の細胞形態とPI3K遺伝子変異との関連性の解明
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18K15096
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野嵜 史 日本大学, 医学部, 助教 (10409021)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳癌 / アポクリン癌 / PI3K遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞の形態から分子治療標的となる遺伝子異常の存在が予測できるかどうかを明らかにし、病理形態診断の新たな可能性にせまることを目的としている。 前年度までに、PIK3CA遺伝子変異ホットスポット部に変異が認められていない乳癌培養細胞(HCC1428)をもちいて、PIK3CA遺伝子exon 20のkinase domainで ある(H1047R[c.3140A>G])部位の遺伝子変異導入を、CRISPR-Cas9法を用い、エレクトロポレーション法にて行った。変異導入後の細胞よりDNAを抽出し、制限酵素法およびダイレクトシーケンス法を用いて検索し、変異導入が行われていることは確認された。次に導入細胞について、変異導入細胞の選別を試みたが、増殖が遅いためか、conditioned mediumなどを用いて生育を促したものの、シングルセルクローニングが困難であった。 ヒト乳癌手術検体をもちいて、PIK3CA遺伝子変異解析についての検討を行うために、前年度に作成済のTMAブロックをもちいて、組織切片作成・DNA抽出を行ったが、ブロックを作成してから時間が経過していたためか、DNA抽出およびpcr法による遺伝子増幅が困難であった。RNA抽出後にcDNA合成、pcr法による遺伝子増幅も試みたが、やはり検出困難であった。そこで、ブロック作成からより経過年数の浅いブロックをもちい、DNA抽出、pcr増幅の検討を行ったところ、検出が可能であった。よって、経過年数の浅いアポクリン癌(術前療法無し)とその対象となる浸潤癌を選出し、DNA抽出とpcr法による遺伝子増幅、PIK3CA遺伝子変異解析を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
PIK3CA遺伝子における変異ホットスポットであるexon 9 (E542K[c.1624G>A], E545K[c.1633G>A])、exon 20 (H1047R[c.3140A>G])ホットスポット部の変異がない事を確認した、HCC1428株をもちいて、PIK3CA遺伝子変異ホットスポットである、exon 20(kinase domain)のH1047Rについての遺伝子変異導入を、CRISPR-Cas9法をもちいて行う方針であった。しかし、当初予定していた研究協力者が不在となったため、CRISPR-Cas9法によるCRISPR-Cas9法培養細胞の遺伝子変異導入のための、試薬選定、条件検討に想定外の時間を要した。また、変異導入後の乳癌培養細胞HCC1428生育も遅く、シングルセルクローニング法を行う時間を要した。 ヒト乳癌手術検体をもちいたPIK3CA遺伝子変異解析においては、当初予定していた作成済のTMAブロックを用いてのDNA抽出、RNA抽出およびpcr法による遺伝子増幅が困難であったため、新たな症例を選定することに時間を要した。ブロック作成からより経過年数の浅い乳癌手術症例(術前療法無し)の症例から、アポクリン癌を抽出した。また同じ期間内のすべての浸潤性乳癌(術前療法無)を抽出し、その中から非アポクリン癌対象症例をマッチングした。比較的新しい組織ブロックよりは、DNA抽出とpcr法による遺伝子増幅が可能であった。 所属機関変更による業務状況変化、コロナウイルス感染状況による実験場所や時間的制約があり、研究活動への支障が生じたため研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト乳癌手術検体をもちいた、PIK3CA遺伝子変異解析については、すでにTMAブロック作成済のブロックを用いたところ、ブロック作成から年数が経過していたためか、DNAよりのpcr法による遺伝子増幅が困難であった。経過年数の浅い組織ブロックを用いたところ、DNA抽出とpcr法による遺伝子増幅が可能であった。 新たに抽出した乳腺アポクリン癌、およびコントロール症例を用い、DNA抽出とpcr法による遺伝子増幅をおこない、PI3KCA遺伝子の変異の有無を検索する予定である。その後、PIK3CA遺伝子変異の有無の状況を、アポクリン癌と非アポクリン癌対象症例とで比較し、両者の間における変異発現状況の違いを探索したうえで、結果を論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究計画の遅れのため、ヒト乳癌手術検体をもちいた、DNA抽出、PIK3遺伝子変異解析が終了していない状況であり、次年度使用額が生じた。次年度、DNA抽出およびPIK3遺伝子変異解析委託費に使用する予定である。
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