2018 Fiscal Year Research-status Report
胃癌における炎症・免疫関連分子PD-L1及びNLRP3の機能解析
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18K15097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西東 瑠璃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (70805358)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PD-L1 / EBV関連胃癌 / NLRP3 / インフラマソーム / 遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌と炎症・免疫関連分子についての臨床病理組織学的な検討に引き続いて、その機序を解明するために以下2つの研究を行っている。 ①免疫チェックポイント分子のPD-L1がEBV関連胃癌で高率に発現しており、その約1/3がPD-L1遺伝子の増幅によるものと判明したが、約2/3は機序が解明されていない。遺伝子増幅以外のPD-L1発現経路を探索することを目的に各種実験を行った。まず微小環境との相互作用に着目し、胃癌培養細胞株を用いた実験を行った。EBV関連胃癌培養細胞株2種と非EBV関連胃癌培養細胞株3種を培養し、サイトカイン5種を添加後に回収したタンパクを用いてWestern blottingを行いPD-L1発現の変化を調べた。その結果INFγを添加するとすべての細胞株でPD-L1発現が増強するものの、その他のサイトカインによるはっきりした変化は認められなかった。またATLでPD-L1の3'UTR欠失がPD-L1の過剰発現を引き起こしており、同様のゲノム構造の変化がEBV胃癌にもみられたとの既報(Kataoka K et al. Nature. 2016;534(7607):402-406)を参考に、PD-L1発現が確認されている症例の3'UTRの発現を調べるための準備を行っている。 ②インフラマソームの構成分子のひとつのNLRP3がびまん型胃癌で予後不良と相関しており、NLRP3発現が細胞遊走と正の相関関係にあることを解明したが、その機序は明らかになっていない。NLRP3が胃癌細胞の遊走能を亢進させる機序を解明することを目的に実験を行った。まず胃癌培養細胞株とNLRP3のインフラマソーム形成阻害薬(MCC950)を導入して遊走能の変化を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胃癌培養細胞株を用いた実験を繰り返し行っているが、当初の予定よりも時間を要してしまったため。また結果の解釈が難しいものが多く、研究室内での検討を細かく行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌と炎症・免疫関連分子についての機序を解明する2つの研究に関して、それぞれ以下のように研究を進めていく予定である。 ①微小環境との相互作用に伴うPD-L1発現に関しては胃癌培養細胞株を用いた実験を継続して行い、IFNγがPD-L1発現を増強する際に共に変化している分子を同定し、そのinhibitorの導入などによってその機序を解明していきたいと考えている。またPD-L1の3'UTRに関してはPD-L1発現が確認されている症例のFFPE標本からRNAを抽出してRT-PCRを行って3'UTRの発現を調べ、3’UTRの欠失(相対的減少)の有無を調べていく予定である。 ②胃癌培養細胞株にNLRP3のインフラマソーム形成阻害薬(MCC950)を導入して遊走能の変化を調べたところ、NLRP3による胃癌細胞の遊走能亢進はインフラマソームに依存していないことが判明した。しかしながらMCC950の細胞毒性について検討が不十分であるため、今後MCC950を導入した際の増殖の変化を調べ、NLRP3による遊走能亢進がインフラマソーム非依存性であることを確定する。その後NLRP3による胃癌細胞の遊走能亢進に関わる分子を見出すため、胃癌培養細胞株とNLRP3のsiRNAを用いてマイクロアレイによるmRNA発現解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
培養細胞株を用いた実験が遅れていることに影響し、費用のかかる実験を次年度に繰り越したため。
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