2022 Fiscal Year Annual Research Report
Biological and clinical significance of transglutaminase 2 as a marker for early recurrence of hepatocellular carcinoma
Project/Area Number |
18K15102
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 裕美 日本大学, 医学部, 客員研究員 (90547118)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トランスグルタミナーゼ 2 / 肝細胞癌 / 早期再発 / Wnt/β-catenin signaling / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスグルタミナーゼ2(TGM2)は、様々な細胞プロセスに関与し更にがん進展に関連すると考えられる、多機能タンパク質である。過去の研究で早期再発肝細胞癌の特に癌間質に近接した肝癌細胞で高発現であることが見出されたため(Yamaguchi et al., 2017)、TGM2高発現肝癌細胞株(JHH7-shCont)と低発現株(JHH7-shTGM2)を用いたin vitroの実験系で、TGM2がどのように肝細胞癌の進展に寄与するか明らかにすることを試みた。 1. 細胞増殖と移動への関与…shContに比べ、shTGM2では統計的に有意に細胞増殖能が低下していた。移動能は両者の間で差が見られなかった。 2. GeneChip arrays及びRT qPCRによる遺伝子発現パターンの比較…shCont細胞においてWnt/β-cateninシグナルアンタゴニストであるDKK family遺伝子の発現低下を確認した。Pathway analysisの結果、p53 pathwayに関連する遺伝子群の発現変動があることが分かった。 3. Recombinant hTGF-β1による刺激…TGF-β1刺激により、shCont, shTGM2ともTGM2の発現量が上昇したが、依然両者の発現量には明確な差があった。乳癌ではTGF-β下流での上皮間葉転換(EMT)にはTGM2が必須との報告があるが(Kumar et al., 2010)、肝癌由来JHH7細胞株ではEMTに関わる遺伝子SNAI1, CDH2等の発現亢進はTGM2に非依存的であった。 以上の結果から、TGM2は腫瘍微小環境におけるWnt/β-cateninシグナルの異常やTGF-β等の液性因子に応答し、腫瘍悪性化に間接的に関与している可能性が示された。
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