2019 Fiscal Year Research-status Report
大腸鋸歯状病変の革新的な癌化予測法の確立:マイクロRNAの網羅的解析
Project/Area Number |
18K15107
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
高松 学 公益財団法人がん研究会, 研究所 病理部, 研究員 (00750366)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | RNA抽出 / FFPEサンプル |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、大腸鋸歯状病変(無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ; 以下、SSA/P)について、病変から抽出したマイクロRNA (miRNA)と癌関連遺伝子の発現を統合解析することにより、発癌と関連の深いmiRNAを特定し、発癌リスクの高い鋸歯状病変のスクリーニング法を確立する。 研究代表者の所属するがん研究会で、2010年から2019年に内視鏡的に切除された大腸の鋸歯状病変SSA/PならびにSSA/P由来癌について、パラフィンブロックからマイクロダイセクションによる組織の回収を行い、回収した組織から全RNAを抽出し、mRNAおよびmiRNAを定量した。解析対象群は、SSA/P(非癌化、以下SSA/Pn)7症例から7検体、SSA/P由来癌(以下、Ca)7症例から癌部7検体、SSA/P部(以下、SSA/Pc)7検体、非腫瘍粘膜(以下、N)3検体、合計24検体(4群)とした。発現量の差はlog2 fold change(かつ p<0.01)で表す(以下、有意差)。 mRNAについては、NとCaとの群間で、2.0以上の有意差がみられたものが8個存在した。同様に、SSA/PcとCaとの群間では3個、SSA/PnとCaとの群間では7個みられ、後2者に共通するmRNAは1個存在した。また、NとSSA/Pcとの間では同6個みられた。一方で、SSA/PcとSSA/Pnとの間では、2.0以上の有意差を示すmRNAはなく、最高で1.3 (p<0.001)であった。 miRNAについては、NとCaとの群間で、5.0以上の有意差がみられたものが14個存在した。同様に、SSA/PcとCaとの群間では2.0以上の有意差で12個、SSSA/PcとSSA/Pnとの間では, 同7個みられた。 以上より、有意差のみられたmRNAおよびmiRNAについて、免疫染色とin situ hybidizationによる可視化の候補とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、2019年度中にmiRNAおよびmRNAの発現解析を完了し、SSA/P癌化の予測に利用しうる複数のRNA候補を選出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
癌化の予測精度を高めるために必須である他症例でのmiRNA in situ ハイブリダイゼーションや免疫染色等については、2020年5月現在、COVID-19感染拡大の影響により研究所内での実験実施が制限されており、実施困難である。制限が解除され次第、取り掛かる予定。
|
Causes of Carryover |
核酸デジタルカウントに用いるパネル以外の消耗品や全RNA抽出に用いた試薬等は、研究代表者の所属する部署の在庫を一時的に使用したため、その分の次年度 使用額が発生した。2020年度中に該当の在庫を補うため当該助成金を使用する予定である。
|