2020 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction of carcinogenesis for colonic serrated lesions with micro RNA analysis
Project/Area Number |
18K15107
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
高松 学 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (00750366)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | mRNA / SSA/P / 大腸 / 癌化 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、大腸鋸歯状病変(無茎性鋸歯状腺腫/ポリープ; 以下、SSA/P)について、病変から抽出したマイクロRNA (miRNA)と癌関連遺伝子の発現を統合解析することにより、発癌と関連の深いmiRNAを特定し、発癌リスクの高い鋸歯状病変のスクリーニング法を確立する。 研究代表者の所属するがん研究会で、2010年から2019年に内視鏡的に切除された大腸の鋸歯状病変SSA/PならびにSSA/P由来癌について、2019年度に定量解析し発現変化のみられたメッセンジャーRNA(以下、mRNA)の候補の中から、同じく発現変化のみられたmiRNAのターゲットとなりうるmRNAの絞り込みを行った。この時、miRNAの組織内分布を把握するための可視化を目的とした in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法が可能なmiRNAを優先的に選抜した。 結果として、1つのmiRNA(以下、miRNA-X)とそのターゲットとなる1つのmRNA(以下、mRNA-Y)を特定した。miRNA-Xは、nCounterによる核酸デジタルカウントでは、癌化SSAPの非癌部(SSA/Pc)において、非癌化SSA/P(SSA/Pn)に比して有意に発現上昇がみられ、逆に、mRNA-Yの発現は低下がみられた。ISH法では、miRNA-Xは正常粘膜では殆ど発現がみられなかったが、SSA/Pnでは表層に、SSA/Pcでは陰窩基底部にそれぞれ高発現し、癌部では低発現することが確認された。一方でmRNA-Yに由来するタンパクは、免疫染色によって正常粘膜では増殖帯に陽性となり、SSA/Pnでは表層に、SSA/Pcと癌部では全層性に陽性でかつ癌部の方が発現が強くみられた。 以上のことから、miRNA-Xは標的遺伝子と関連し、SSA/PnとSSA/Pcでの発現様式が異なることから、癌化の予測に活用できる可能性が示唆された。
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