2019 Fiscal Year Research-status Report
分類不能非小円形細胞肉腫の遺伝子解析と新規疾患単位の探索
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18K15108
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉田 朗彦 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80574780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肉腫 / 病理診断 / 融合遺伝子 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
①若年成人の高悪性度肉腫2例において、KMT2A遺伝子の関わる融合(YAP1-KMT2A, VIM-KMT2A)を発見した(Histopathology. 2019;75:508-516.)。②成人の肺原発紡錘形細胞肉腫1例においてMGA-NUTM1融合を見出した(Virchows Arch. 2020 476:317-322.)。③非典型的な組織像を呈したため病理診断に時間を要した低悪性度子宮内膜肉腫の1例において、MEAF6-SUZ12融合遺伝子を発見した(Virchows Arch. 2019; 475:527-531.)。④EWSR1-CREM融合を有する肉腫の組織像を臨床病理学的に解析した(Am J Surg Pathol. 2019;43:1622-1630.)。EWSR1-CREMは軟部明細胞肉腫において稀(33例中1例)に、また、粘液型類血管腫線維組織球種においても繰り返し(11例中3例)検出される融合であることを発見した。さらに、分類不能肉腫2例においてもEWSR-CREMを検出し、この融合に関係する形質が多岐にわたることを示した。⑤BCOR関連肉腫の成人発生7例について臨床病理学的・遺伝子的解析を加えた(Histopathology. 2020;76(4):509-520.)。このうち鼻腔原発の1例において新規融合CIITA-BCOR融合を発見した。さらにこれまでは乳児の肉腫に特徴的と考えられていたBCOR internal tandem duplicationも2例で見出し、この異常が乳児特異的でないことを示した。⑥悪性転化を来した骨巨細胞腫9例を集積し、臨床病理学的・遺伝子的解析を行ったところ、5例において悪性転化に際しH3F3AG34変異が消失することを発見した(Mod Pathol. 2019;32:1751-1761)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病理学な分類が困難な肉腫において、新規のものを含む融合遺伝子を複数発見し、予定通りに論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
通常の診断技法では分類不能ないし分類困難と考えられる症例をすでに複数例集積しており、それらを次世代シーケンスのパイプラインで解析している。昨年度と同様に研究を推進する予定である。執筆中の論文も複数あり、今年度も興味深い結果を公表できると期待される。
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Causes of Carryover |
前年度までに遂行された遺伝子解析結果の論文発表に多くのエネルギーを割いたためと、別の適切な研究費を遺伝子解析に充当することもできたために、次年度使用額が発生している。次年度繰り越し分については、引き続き遺伝子解析や免疫染色の試薬代を中心として有効に使用する予定である。
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