2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾異常を有する骨軟部腫瘍の臨床病理分子学的特徴の解明
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18K15110
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
牧瀬 尚大 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 外来研究員 (70815373)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肉腫 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
①脱分化型軟骨肉腫19例においてH3K27me3染色を行い、19例中6例においてH3K27me3が消失していることを見出した。これらの症例は、上半身発生、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)と類似の組織像、横紋筋への異所性分化、grade3成分の存在、軟骨成分の転移、など、H3K27me3保持例とは異なる臨床病理像を示す特徴的な一群であることを見出した。また、ターゲット次世代シーケンスを行い、SUZ12, EEDといったPRC2複合体の構成蛋白をコードする遺伝子に異常があることを突き止めた。一方で、NF1, TP53, CDKN2AといったMPNSTにおいて高頻度に異常の見られる遺伝子には変異が少なく、MPNSTとは異なる疾患であることを示した。この内容を論文と学会で発表した。(Makise et al. Modern Pathology, 2018) ②脱分化、異所性分化を示すような軟部腫瘍複数例においてH3K27me3染色を行い、その一部はH3K27me3が消失していた。H3K27me3の保たれている高分化成分とH3K27me3の消失している脱分化成分、複数個所で別々にターゲット次世代シーケンスも行い、PRC2の遺伝子異常があることと、MPNSTとは異なる疾患であることを確認した。これらの腫瘍について臨床病理学的解析を行っている。 ③低悪性度子宮内膜間質肉腫においてRNA-seqを行ったところ、PRC2複合体の構成蛋白を含むような予期せぬ新規融合遺伝子を同定したため論文発表の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①H3K27me3消失脱分化型軟骨肉腫について順調に解析を行い、論文発表を行った。 ②脱分化、異所性分化を示すような軟部腫瘍複数例においてH3K27me3染色を行い、その一部はH3K27me3が消失していた。ターゲット次世代シーケンスも行い悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)とは異なる疾患であることを確認した。これらの腫瘍について臨床病理学的解析を行っている。 ③低悪性度子宮内膜間質肉腫においてPRC2複合体の構成蛋白を含む新規融合遺伝子を同定したため論文発表の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
①脱分化、異所性分化を示すH3K27me3消失軟部腫瘍について臨床分子病理学的解析を継続する。 ②分類の難しい骨腫瘍・軟部腫瘍においてH3K27me3染色を行い、消失例を探索する。 ③癌肉腫においてもH3K27me3染色を行い、消失例を探索する。 ④H3K27me3が保持されているような分類困難腫瘍に対しては次世代シーケンスを試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は旅費を使用しなかった。 来年度は物品費に加えて、旅費、英文校正費などにも用いる予定である。
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