2019 Fiscal Year Research-status Report
逆相蛋白質アレイを用いた胎児型肺腺癌の蛋白質発現解析と新たな治療標的候補の探索
Project/Area Number |
18K15111
|
Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 理樹 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 医師 (00770108)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高悪性度胎児型肺腺癌 / 胎児型肺腺癌 / 逆相蛋白質アレイ / 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺腺癌は肺癌の最も頻度の高い組織型であり、ドライバー遺伝子変異を基盤とした分子標的療法の開発が最も進歩している腫瘍の一つである。肺腺癌には形態学的にさまざまな組織亜型が存在し、稀ではあるが予後不良な組織亜型として高悪性度胎児型肺腺癌(H-FLAC)がある。本研究は免疫組織化学および逆相蛋白質アレイ(RPPA)の解析により、H-FLACの分子生物学的特徴を明らかにし、新たな分子標的治療法の開発に発展させていくための研究基盤を確立することを目標とする。また、H-FLACはしばしばAFP陽性を示し、形態学的にもAFP産生胃癌との類似性が指摘されていることから、様々な臓器で発生しうるAFP産生腫瘍の研究に応用し、臓器横断的な研究へと発展させていく。 本研究に並行してH-FLACの網羅的ゲノム解析を行っているが、2018~2019年度ではそのゲノム解析の結果を踏まえ、免疫組織化学的検討を行なった。H-FLACの一部の症例においてTP53やCTNNB1の変異を認めたが、その症例に一致してp53のびまん性陽性像やβ-cateninの核への異常集積を認めた。また、多くの症例のH-FLAC成分において肺サーファクタント蛋白質(SP-A, SP-B, SP-C)が陰性だった。半数以上の症例においてClaudin-6が陽性を示した。 H-FLACは通常型腺癌と比べて幼若な上皮の形態を示すが、肺サーファクタント蛋白質が多くの症例で陰性化しており、H-FLACが幼若な形質を有することを支持する所見と考えられる。またβ-cateninの異常集積は低悪性度胎児型肺腺癌(L-FLAC)の特徴とされてきたが、今回の検討では一部のH-FLACにも同様の所見を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に蛋白質発現解析の候補マーカーを決定する予定であったが、並行研究のゲノム解析の結果からは候補マーカーを絞れなかったため、進捗状況はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
並行してRNAseqを行なっており、その結果を踏まえて候補マーカーを決定し、RPPAもしくはウェスタンブロットにより蛋白質発現量の解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
免疫染色等の試薬の一部は既存のものを使用した。また、RPPA解析に用いる抗体の購入を次年度に見送ることになったため、新たに購入する試薬が予定よりも少ない量となり、残額が発生した。残額分は次年度の免疫染色やRPPA解析に用いる試薬や、学会発表する際の参加費や旅費等に使用する予定である。
|