2018 Fiscal Year Research-status Report
急性心筋梗塞後の心不全の発症・進展におけるIL-21の作用メカニズムの解明
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18K15112
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保田 暁彦 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60785575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 組織修復 / 急性炎症 / マクロファージ / インターロイキン21 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、心筋梗塞後の組織修復に免疫細胞が関与し、心不全発症を制御することが示されている。本申請者はこれまで、①CD4陽性T細胞(CD4+T細胞)の活性化が組織修復を促進するM2マクロファージ(M2)の誘導に必要であること、②M2が分泌するMMP-12が心筋梗塞後の組織修復を促進し、心不全発症を防ぐことを明らかにした。さらに心筋梗塞後の組織修復を促進するM2の誘導機構を明らかにするため、(1) 心筋梗塞領域のM2のトランスクリプトーム解析を行い、IL-21受容体がM2に高発現していること、(2) 心筋梗塞領域でCD4+T細胞がIL-21を産生すること、(3) IL-21欠損マウスは心筋梗塞後の生存率が高く、心機能低下が起こりにくいことも見出した。 本年度は、まず、野生型マウスとIL-21欠損マウスにおいて、心筋梗塞後の病理学的な違い、心筋梗塞領域における遺伝子発現の違いを検討し、IL-21欠損によって生じる心筋梗塞後の変化を詳細に解析した。その結果、野生型マウスとIL-21欠損マウスとの間で、梗塞領域の大きさには違いがないものの、梗塞領域における線維化の程度(組織修復の速さ)に関しては、IL-21欠損マウスで有意に高いことがわかった。さらに、遺伝子発現、細胞外マトリックスを分解するはMatrix metalloproteinase (MMP)-9の酵素活性がIL-21欠損マウスで有意に低く、創傷治癒が促進していることが示唆された。現在は、心筋梗塞領域においてIL-21が作用する細胞の同定、およびその細胞にもたらす IL-21の作用の解析を進め、それに並行して、可溶化IL-21受容体-Fcキメラ蛋白(sIL-21R-Fc)によるIL-21中和の急性心筋梗塞後心不全に及ぼす効果を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた、野生型マウスとIL-21欠損マウスにおける心筋梗塞後の病理学的な違い、心筋梗塞領域における遺伝子発現の違いに関して、上述の如く、明らかにすることができた。また、初年度のうちに心筋梗塞領域においてIL-21が作用する細胞の同定、およびその細胞にもたらす IL-21の作用の解析を開始することができており、3年目に行う可能性のあった、可溶化IL-21受容体-Fcキメラ蛋白(sIL-21R-Fc)によるIL-21中和の急性心筋梗塞後心不全に及ぼす効果の検証についても、既に準備段階を迎えており、研究が順調に進捗しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、研究が順調に進行していることから、大幅な研究計画の変更は予定していない。今年度は、心筋梗塞領域においてIL-21が作用する細胞の同定、およびその細胞にもたらすIL-21の作用の解析、及び、IL-21中和の心筋梗塞後心不全予防効果の解析を行う計画である。
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Causes of Carryover |
残額は次年度の物品費に充当する。
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