2018 Fiscal Year Research-status Report
新規炎症細胞を起点とする肝臓の炎症誘導機序の解明とNASH治療への応用
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18K15113
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 藤美 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30726419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たに同定した新規炎症細胞(肝臓APDP細胞)が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)において炎症を惹起・進展させると考え、APDP細胞を起点としたNASHの病態形成機序を解明し、NASHの治療法開発に応用することを目的とする。我々は脂肪組織において脂肪前駆細胞由来のAPDP(Adipocyte progenitor-derived proinflammatory)細胞が、脂肪組織炎症のトリガーを引くことを見出した。興味深いことに、肝臓炎症においてもAPDP類似細胞が存在し、炎症性サイトカインを発現することを見出している。NASHの進行過程における肝臓炎症と線維化における肝臓APDP細胞の機能を解明し、治療標的の可能性を検討する。炎症誘導時の肝臓におけるAPDP細胞の機能を解明するため、はじめに高脂肪食負荷またはCCl4投与により肝臓の炎症を誘導し、APDP細胞数や炎症関連遺伝子発現、APDP細胞ならびに免疫細胞のトランスクリプトームをRNA-seqで解析し、免疫細胞との相互作用を制御するサイトカイン候補を同定した。さらに、肝臓APDP細胞とともにマクロファージや単球等の免疫細胞の動態を解析し、肝臓APDP細胞と免疫細胞との関連について解析を行った。また肝臓APDP細胞の由来は未だ明らかではないことから、RNA-seq結果に基づき肝臓APDP細胞のマーカー遺伝子を同定した。これらの結果を踏まえてAPDP細胞の分化・増殖について詳細に解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、肝臓APDP細胞のマーカー遺伝子の探索や、炎症誘導時の肝臓APDP細胞の炎症関連遺伝子発現の解析を行い、免疫細胞動態と関連するような遺伝子やサイトカインについての情報が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
APDP細胞のマーカー遺伝子や炎症関連遺伝子の発現解析の結果をもとに、引き続き肝臓APDP細胞の分化・増殖機構について解析を行う。得られた結果よりAPDP細胞機能やAPDP細胞を起点とする肝臓炎症・線維化を司るメディエータ・シグナル機序への介入がNAFL・NASHに対する予防・治療効果を持つかを評価する。
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