2018 Fiscal Year Research-status Report
色素幹細胞の運命決定機構から解明する老化と癌の関係性
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18K15114
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
毛利 泰彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, プロジェクト助教 (00622995)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 色素幹細胞 / ニッチ / 白髪 / メラノーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
1、ニッチ因子が様々なゲノムストレス下にある色素幹細胞に与える影響を解析した。まず、各ゲノムストレスを負荷したマウスから色素幹細胞のニッチ細胞をK15(Hi)/ITGA6(Hi)/ScaI(-)を指標にFACSにより回収し、マイクロアレイ解析を行った。 まずは色素幹細胞の枯渇による白髪に着目し、マイクロアレイの結果、候補としてスクリーニングされたニッチ因子に関して、ニッチ細胞特異的なプロモーター(K15, K14)を用い遺伝子欠損マウスと過剰発現マウスを作製した。このマウスに色素幹細胞枯渇性のストレスを負荷したところ、遺伝子欠損マウスにおいて色素幹細胞の枯渇が促進的に見られ、一方で過剰発現マウスにおいては色素幹細胞の枯渇が抑制された。
2、上記のマイクロアレイにより、発癌性のゲノムストレスにより早期に発現が上昇するニッチ因子に着目した。申請者らは、色素細胞特異的に遺伝子変異を導入する系を用い、色素幹細胞からメラノーマを発症するモデルマウスの確立に既に成功している。そこで、このメラノーマのモデルマウスを用い、ニッチ因子がメラノーマ発症に先立ちメラノーマの環境を作り出すことで、メラノーマのオリジンとなりうる色素細胞をより優位に増殖させている可能性を検証した。まだ検討段階ではあるが、メラノーマモデルマウスに阻害剤を投与し、ニッチ因子の働きを阻害した際にはメラノーマの初期発生が阻害され、一方で、ニッチ因子が過剰に働くことで、メラノーマの初期発生が促進的に見られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、マイクロアレイによりスクリーニングされたニッチ因子の候補が、枯渇性のゲノムストレス下にある色素幹細胞の運命制御に決定的な役割を担っていることをin vivoの系で示すことに成功した。当初の計画通り、研究は順調に進んでいると考えている。
2、発癌性のゲノムストレスにより早期に発現が上昇するニッチ因子に着目し、このニッチ因子がメラノーマの初期発生に与える影響の解析を進めている。十分な数のメラノーマモデルマウスを得るのに時間がかかっており、まだ検討段階ではあるが、ニッチ因子とメラノーマの初期発生の関係性を示すデータが出ている。期待通りの実験結果が得られ、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1、マイクロアレイによりスクリーニングされたニッチ因子が、ゲノムストレス下にある色素幹細胞の運命制御に重要な役割を担っていることがin vivoの系で明らかとなった。そこで、このニッチ因子が誘導される分子メカニズムとこのニッチ因子が色素幹細胞の運命制御において、どのような分子メカニズムで機能しているのかを今後明らかにする必要がある。まずは、ニッチ因子が色素幹細胞に与える影響を分子レベルで解析する。
2、発癌性のゲノムストレスにより早期に発現が上昇するニッチ因子とメラノーマの初期発生に着目した研究を継続し、統計的に有意な結果が得られるかを検証する。
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Research Products
(1 results)