2018 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍幹細胞におけるCD109の機能解析と新規治療法の開発
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18K15116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白木 之浩 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40804753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CD109 / 脳腫瘍 / 病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳腫瘍マウスモデルを用いて癌関連タンパク質CD109の機能解析を行うと共に、抗CD109抗体を作製し、CD109を標的とした治療開発を行うことを目的としている。我々はこれまでに、CD109は神経膠腫・膠芽腫の悪性化に関わること、脳腫瘍幹細胞は分化した細胞に比べCD109が高発現していること、膠芽腫の治療抵抗性に関わる可能性があることを示しており、治療標的としてCD109が有望な候補であると考えている。 当該年度に実施した研究で、CD109が癌関連線維芽細胞に発現するタンパク質と結合するという結果をin vitroの実験において得ることができた。また、抗CD109抗体に関しては、CD109との結合活性が高く、特異性の高い抗体が複数得られた。 今後は、腫瘍幹細胞と癌関連線維芽細胞におけるCD109の役割を明確にするため、脳腫瘍マウスモデルにおける相互の局在や分布等を詳細に検索していく予定である。特にCD109は、TGF-betaとの関連がこれまでの研究で指摘されており、癌関連線維芽細胞の線維化過程におけるTGF-betaシグナルとの関わりにも注目し検討したい。また、抗CD109抗体については、候補として得られた抗CD109抗体の中和活性やADCC活性の有無など、更にはin vivoにて抗腫瘍効果があるかどうかを検討していく予定である。更に、最近ではCD109が放射線治療によって発現が増強することが示されているため、放射線治療を行った後に抗CD109抗体を投与することで治療効果の増強が現れるかも検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD109の機能解析に関しては、当初はマウス由来の脳腫瘍組織から結合タンパク質を検出する予定であったが、脳腫瘍組織での免疫沈降法が不調に終わったため、細胞株を用いて結合タンパク質の検出を試みることとなった。その結果、癌関連線維芽細胞のタンパク質に注目することで、新しい結合タンパク質を見つけることができた。抗CD109抗体については、複数の候補抗体を得ることができており、概ね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
CD109と癌関連線維芽細胞の相互関係を明確にするため、相互の局在を免疫組織化学染色にて観察し、またCD109欠損マウス等でも確認する。抗CD109抗体については、中和活性やADCC活性を調べた後、脳腫瘍マウスモデルに投与することで抗腫瘍効果を検索する。
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Causes of Carryover |
研究遂行において、一部想定以上に時間を要したため。 また、当初の予定では、学会での研究発表のための旅費を計上していたが、個人的な事情により発表の機会を作ることができなかったため。
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Research Products
(3 results)