2019 Fiscal Year Research-status Report
isogenicなHCM変異iPS細胞由来心筋細胞を用いたHCM発症機序の解明
Project/Area Number |
18K15120
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 健嗣 京都大学, iPS細胞研究所, 特定助教 (10772759)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | HCM / MYH7-R719Q / RNA-seq / hiPS細胞 / isogenic |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は肥大傾向が認められたMYH7-R719Qの2株に関して、isogenicコントロール株も含めてRNA-seq解析を行い、標的遺伝子の絞り込みを行った。サンプルとしては分化誘導して20日目のsort心筋、sort後播種して3日目と8日目の3点を変異株とisogenic株で2株ずつの計12サンプルで比較し検討を行った。その結果、変異株の各タイムポイント全てにおいてisogenicに比してFold change (FC) <0.5もしくはFC>2.0の遺伝子が複数抽出され、それらの遺伝子について改めてqPCRを実施したところ、幾つかにおいては有意に差があることが見出された。それらは心筋関連遺伝子のものやlong non-cording RNAも含まれている。現在これらに関して更なる実験を進めているところである。更にRNA-seqによる候補遺伝子の探索以外にケミカルプロテオミクスによる肥大化抑制候補遺伝子の探索も実施しており、現在絞り込みの最終段階である。その他、CRISPRライブラリーによる候補遺伝子の探索も計画しており、こちらに関してはdCas9を強制発現させるMYH7-R719QのhiPS細胞株の樹立にまで至っている。 昨年度作製したMYBPC3-truncation変異株に関しては、ヒトiPS細胞から分化した心筋細胞においてMYBPC3タンパク質の欠損は確認できたが、isogenic株の心筋細胞と比べて顕著な肥大及びサルコメアの異常は認められなかった。 また、本年度9月からは国際共同研究強化(A)の課題実施のため米国MGHへ渡米し、3次元組織の構築に向けた研究も進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-seq解析による絞り込みはMYH7-R719Q変異の2株で実施しており、当初予定していたMYBPC3遺伝子上の変異株は含んでいない。その理由としては、MYBPC3上の変異株はこれまでR502W及びtruncationをそれぞれ異なる2つの親株で作製したが、どちらの変異も分化誘導後の心筋細胞において肥大傾向は認められなかったためRNA-seq解析は実施していない。だが、MYH7-R719Q変異のRNA-seq解析及びその後のqPCRから有意な差がある遺伝子が見出されたことに加え、当初予定していなかったケミカルプロテオミクスやCRISPRライブラリーなど多角的なアプローチで候補遺伝子探索を進めており、当初の方針とは多少異なっているが順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定どおり見出された候補遺伝子をgain or loss of functionで解析することでHCM発症機序の新たなターゲットを同定することを目標としている。 まずはRNA-seqにより見出された遺伝子においてsiRNA等でKD及びレンチウイルスによる強制発現実験を行う。その後、免疫染色による細胞面積及びサルコメア異常の解析、カルシウムハンドリング解析、遺伝子発現解析等からin vitroにおいてHCMの発症を抑制できるかを確認する。また、ケミカルプロテオミクスやCRISPライブラリーから見出される候補遺伝子に関しても同様の実験を行い、最終的にHCM発症に寄与するターゲット因子を同定する。
|
Causes of Carryover |
9月から米国での実験となり、現地での試薬等の立替払いにおいて予定より少し安価に購入できたことも要因の一つである。次年度も計画通り実施していく予定である。
|