2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of cancer metabolism by D-amino acids or the enzymes which metabolize D-amino acids
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18K15122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 健司 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40817152)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん代謝 / アミノ酸 / ミトコンドリア / アポトーシス / ヒストンアセチル化 / 活性酸素 / ピルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞は代謝をリプログラミングすることによって自身の生存、増殖、転移などに有利な形質を獲得している。セリンラセマーゼはピリドキサール-5'-リン酸依存性の代謝酵素であり、L-セリン、D-セリンの異性化及びL-セリン、D-セリンからピルビン酸とアンモニアを産生する反応の両方を触媒する。L-セリン、ピルビン酸はともにがん細胞の増殖を促進することが知られているが、両者を結びつける代謝経路ががん細胞の増殖に寄与するかは明らかにされていなかった。 本研究ではまず、大腸がん、大腸腺腫、大腸腺腫内腺がんの手術切除検体を用いてセリンラセマーゼの免疫組織化学染色を行い、隣接正常部位と比較して、大腸腺腫、大腸がんではセリンラセマーゼの発現が増加しており、さらに腺腫内腺がんでは同一検体内で腺腫から腺がんに腫瘍が進行するに従いセリンラセマーゼの発現が増加していることを明らかにした。そして、セリンラセマーゼがL-セリンからピルビン酸に至る代謝経路を担い、ヒストンのアセチル化、ミトコンドリアの量・質の維持、アポトーシス抵抗性に寄与することで大腸がんの増殖を促進していることを明らかにした。さらに、セリンラセマーゼ阻害剤が大腸がん細胞の増殖抑制効果を示すことを明らかにし、セリンラセマーゼが大腸がんの治療標的になる可能性を示した。大腸がんは日本人において罹患率、死亡率ともに上位に入るがんであるが、手術不能進行・再発例の根治は難しい。本研究結果から、セリンラセマーゼが、大腸がんの代謝経路を標的とする創薬ターゲットになることが期待される。
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Research Products
(7 results)