2018 Fiscal Year Research-status Report
マラリア原虫特異的ロプトリー分泌型タンパク質の肝臓感染における役割の解明
Project/Area Number |
18K15137
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
馬場 みなみ 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 研究員 (00814906)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | RALP1 / マラリア / スポロゾイト / 肝細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫の感染型であるスポロゾイトの肝臓感染における、原虫の分泌タンパク質の一つであるRALP1の作用機序を明らかにし、スポロゾイトの肝臓への感染機序解明に繋げるのが、本研究課題の目的である。 すでに作出してあったRALP1スポロゾイト時期特異的発現抑制原虫(RALP1-cKD原虫)の、スポロゾイトにおけるRALP1の発現レベルを知るためにRALP1のmRNA量を定量した。RALP1-cKD原虫におけるはRALP1mRNAの発現はコントロールと比較して10分の1以下まで抑制されていた。 RALP1が肝細胞への侵入・肝細胞内での発達に関与するかを知るために、肝細胞癌由来の培養細胞であるHepG2細胞にRALP1-cKD原虫を感染させ、48時間後に肝細胞内に寄生する原虫数を測定した。RALP1-cKD原虫とコントロールに差は見られなかった。スポロゾイトをマウスに静注し、44時間後に肝臓を回収、肝臓に含まれる原虫量を定量した。肝臓に含まれる原虫量について、RALP1-cKD原虫とコントロールに差は見られなかった。以上のことから、RALP1は感染後48時間まで、すなわちスポロゾイトの血管内皮から肝実質への脱出と肝細胞への寄生、肝細胞内での発達に必須ではないことが明らかとなった。 スポロゾイトをマウスに静注し、肝臓での発達を経て血液中に出現した赤血球感染型原虫(メロゾイト)は、コントロールと比較してRALP1-cKD原虫で減少している。このことから、RALP1は、スポロゾイト感染48時間後から肝臓より血中へのメロゾイト放出が起こるまでの間で機能しているのではないかと推測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RALP1の作用時期の絞り込みが、in vitro・in vivoの両面からされたから
|
Strategy for Future Research Activity |
計画書通り、培養肝細胞へスポロゾイトを感染させ、継時的に放出されるメロゾイト数をカウントすることで、RALP1が肝細胞からのメロゾイト放出に関与しているかを明らかにする。また、感染48時間後からメロゾイト放出までのRALP1の発現と局在を解析することで、RALP1がどこで機能しているかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた学会発表を一つ見送ったこと、実験がスムーズに進んだことで、試薬等の購入が当初の予定よりも少額で済んだことが理由である。 次年度は、今年度見送った学会で発表すること、予定していた実験試薬等を購入すること、論文を投稿することに使用する予定である。
|