2019 Fiscal Year Research-status Report
The host-parasite relationship mediated by Strongyloides venestatin/RAGE axis
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18K15140
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坪川 大悟 北里大学, 医学部, 助教 (30714901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糞線虫 / ベネスタチン / RAGE / 幼虫体内移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベネスタチンの機能解明のため、in vitroとin vivo両評価系を用い以下の研究を中心に行った。 1.蚕発現の組換えベネスタチン(蚕ベネスタチン)の性状の解析:高活性タンパク質の大量発現を目的として、蚕発現系を用いてベネスタチンを作製した。発現蛋白のN末側に蚕シグナルペプチド、C末側にはヒスチジンタグとStrepタグを含むようにプラスミドを設計し、組換えバキュロウイルスを産生した。蚕幼虫にバキュロウイルスを注入し血リンパを回収、精製カラムにより蚕ベネスタチンを精製した。蚕ベネスタチンは、Ca2+結合蛋白としての性質を有し、免疫マウスでは皮膚から肺までの幼虫移行を約50 % 阻害した。プレートアッセイでは、大腸菌ベネスタチンに比べ、蚕ベネスタチンはRAGEへの高い結合性を示した(Kd値:蚕ベネスタチン 75±9 nM vs 大腸菌ベネスタチン 111±13 nM)。共免疫沈降法では、蚕ベネスタチンは内在性マウスRAGEと結合性を示した。 2. RAGE欠損マウス(RAGE-/-)を用いた、ベネスタチンノックダウン(Kd)糞線虫感染動態の検討: 糞線虫感染におけるベネスタチンとRAGEの関係を調べるため、2018年度に作製に成功したKd糞線虫のRAGE-/-への感染実験を行った。野生型(Wt)とRAGE-/-それぞれに、Kd幼虫、及び対照幼虫を皮下感染した。Wtでは対照感染マウスに比べKd感染マウスで、肺の点状出血が抑制され、移行幼虫数が有意に減少していた。RAGE-/-では対照とKdの間で差はみられなかった。感染直後の皮下組織では、Wtは対照に比べKdで、虫体の周囲にマクロファージを中心とした浸潤細胞の有意な増加が認められたが、RAGE-/-では差はみられなかった。以上より、糞線虫幼虫はベネスタチンを分泌しRAGEに作用させることで宿主免疫応答を回避することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、糞線虫の体内移行に関与する分泌蛋白「ベネスタチン」の、宿主炎症反応の発端となるシグナルを伝達する「終末糖化産物受容体(RAGE)」を介する寄生生理的機能を明らかにすることを目的としている。本研究の目的達成のためには、In vitro とin vivo 両実験系からのアプローチが必要となる。2019年度は、蚕発現系により高活性の組換えベネスタチンを作製し、RAGEとの結合親和性を中心とした生化学的性質を明らかにした。本組換えベネスタチンを用いることにより、喘息などの炎症反応が原因となるRAGE関連疾患への効果を検討することが可能となった。さらには、RAGE-/-へのKd糞線虫感染実験を行った。感染動態や病理組織を解析することにより、ベネスタチン/RAGE経路による糞線虫幼虫の宿主内移行機構の存在を明らかにした。ベネスタチン/RAGE経路を軸としたin vivo感染マップ作製のための基本データが得られたと言える。以上より、2019年度は本研究目的の達成に向かい大きく前進したと言える。従って「おおむね順調に進展している」との判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.In vivo評価系を用いたベネスタチンの機能解明 目標:寄生虫感染性や宿主炎症反応へのベネスタチン/RAGE経路の役割を明らかにする。 ①ベネスタチンが炎症反応に与える影響の解析:RAGE介在性炎症を惹起するGla-BSAを野生型RAGE-/-に投与する。これらのモデルマウス作製過程において、ベネスタチン投与群と非投与群を用意する。皮膚侵入性寄生虫の移行経路に当たる皮下、肺組織を重点的に病理組織学的に比較検証する。②In vivo感染マップの作成:昨年に引き続きRAGE-/-マウスを用いたkd糞線虫感染実験を行い、血清中や幼虫移行組織のサイトカイン量を測定する。以上より、べネスタチンのin vivoにおける役割を総括しマップ化する 2.In vitro評価系を用いたベネスタチンの機能解明 目標:ベネスタチン/RAGE介在性によるシグナル伝達、下流域エフェクターの動態を明らかにする。①リガンド能の解明:細胞膜にRAGEを高発現する培養細胞[HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)] とベネスタチンを共培養し、細胞内におけるRAGEとベネスタチンの共局在性を調べる。②応答経路の解明:HUVECを用いて、べネスタチン共存下におけるRAGEシグナル経路とエフェクター産生の挙動への影響を量的、質的に解析する。グリセルアルデヒド(Gla)-BSAでHUVECを刺激し、活性酸素種の産生、RAGE下流分子のリン酸化、サイトカインの発現へのベネスタチンの作用を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2019年度は、動物を使用した感染実験を中心に行った。RAGE欠損マウスの維持・導入費の大部分を学内研究費よりカバーすることができたため、当初予定していた使用金額よりも少ない支出となった。次年度使用計画については、本研究では、種々の遺伝子及び蛋白解析を日常的に実施することから、試薬類はプライマー作製、シークエンスの解析、生化学・蛋白質合成試薬、最新の遺伝子連結試薬などの購入費として予定している。分析キットは迅速に蛋白合成や遺伝子発現を確認でき、すでに標準化されたプロトコールの上で実験が進捗できるキット試薬の購入に充てる。さらには、寄生虫の継代や感染実験に用いるラットやマウスの購入費や哺乳細胞や寄生虫の培養に用いる培地と血清の購入費としても計画している。
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Research Products
(6 results)