2019 Fiscal Year Research-status Report
コモンマーモセットを用いたブドウ球菌エンテロトキシンAの下痢誘導メカニズムの解明
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18K15142
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
廣瀬 昌平 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20722218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / ブドウ球菌エンテロトキシン / 下痢 / 嘔吐 / 迷走神経 / ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
ブドウ球菌エンテロトキシンA (SEA) はブドウ球菌食中毒の原因毒素である。SEAの嘔吐発現機構が明らかになってきた一方で、未だブドウ球菌食中毒における下痢の発症機序は明らかになっていない。ブドウ球菌食中毒における下痢症状は単独ではなく必ず嘔吐と共に発症するため、本研究ではSEAが下痢活性を有すると仮説を立て検証した。令和元年度は嘔吐活性と下痢活性の作用機序の相違点を探索するべく、以下の実験を行った。
1.マーモセットにおけるSEAの下痢誘導活性:小型霊長類マーモセットにSEAを経口投与し、8時間以内に嘔吐および下痢が発現するかを確認した。嘔吐および下痢の最小発症毒素濃度に個体差が認められた。また、どの個体においても濃度依存的に嘔吐回数が増加すること、下痢が単独で発現することはなく、嘔吐した個体のみ下痢を発現することが明らかとなった。
2.嘔吐活性の抑制と下痢活性発現の関連性:嘔吐活性の発現には腹部迷走神経、肥満細胞の脱顆粒およびヒスタミン受容体の関与が示唆されている。そこで、SEAの嘔吐活性と下痢活性の機序の相違を明らかにするため、迷走神経切除術、脱顆粒阻害剤投与、ヒスタミン受容体阻害薬投与等の嘔吐活性の発現に必須と考えられる作用点を抑制する前処理をおこなったマーモセットにSEAを経口投与し、嘔吐および下痢の発現を解析した。その結果、嘔吐発現を抑制した個体において、下痢の発現は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
嘔吐活性と下痢活性の発現機序がどの段階で別れるのかを探索したが、迷走神経経由のシグナルおよび肥満細胞の脱顆粒ともに共通経路であることが明らかになった。そのため、当初の計画からすればやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
嘔吐活性と下痢活性は独立した活性ではなく、連動していると仮説を修正する。 嘔吐の頻度と便の性状の関係性をブリストルスコア等を用いて解析し、嘔吐活性と下痢活性の強度の関連性解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)