2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of ferroptosis-like cell death induced by Vibrio
Project/Area Number |
18K15147
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
後藤 和義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20626593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビブリオ / 細胞死 / リソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ビブリオ・アルギノリティカスのIII型分泌装置エフェクター分子であるVepAによるHeLa細胞死誘導に細胞内鉄が関与しているとの仮説を立て、鉄が関与する細胞死のメカニズムについて解析を行うことを目的とする。 研究の方法として、組換えVepAタンパク質をHeLa細胞内にセンダイウイルス・エンベロープベクターを用いてトランスフェクションし、誘導される細胞死および細胞死過程での鉄の挙動を観察する。 初年度(平成30年度)では、組換えHis-tag融合VepAタンパク質生産・精製し純度の高い組換えタンパクを得た。組換えタンパクをHeLa細胞に導入したところ、VepAそれ単体でビブリオ・アルギノリティカスの菌体接種により誘導される細胞死を再現することを確認した。また、細胞膜透過性の二価鉄キレート剤によりVepA依存的細胞死が抑制されるかどうかを検討したところ、ビブリオ・アルギノリティカスの菌体感染では完全に抑制されるのに対し、組換えVepAのトランスフェクションによる細胞死では抑制効果は部分的であった。 最終年度(令和元年度)では、ビブリオ・アルギノリティカス生育に対する鉄キレート剤の作用を検討しところ、鉄キレート剤は本菌の生育を抑制した。VepA依存的細胞死誘導への鉄の関与は否定的となった。そこで、この細胞死誘導が他の細胞死メカニズムにより誘導されている可能性を考慮するため、リソソームから漏出すると考えられる鉄イオン以外の分子についても検討した。その結果、システイン・プロテアーゼ、カルシウムイオン、プロトンのいずれも本細胞死誘導への関与は低いと考えられた。また、小胞体ストレスの関与も低いと考えられた。VepAがリソソームまたは小胞体の内容物を漏出させることによって起こる細胞死はこれまでに報告のないまったく新規の細胞死メカニズムが関与している可能性が高い。
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Research Products
(5 results)